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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

老後資産を食いつぶす…安易なワンルームマンション投資は絶対やってはいけない理由

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

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「Getty Images」より

 先日、社会人1年目の23歳の女性から「老後に2000万円必要って聞いて不安です。どうしたらいいんでしょう」と相談された。老後の不安が20代にまで広がっているなんて、危険だ。なぜなら、不安は間違いを引き起こすから。彼女には「まずは20代をどう生きるか、そっちが大切。これに取り組もう」と勧めた。

 将来への不安から、保険、不動産、投資商品などを購入すると、かえって悪い結果になったり、詐欺にあってしまったりするから気をつけて! と前回お話しした。なかでも特に気をつけたいのが、ワンルームマンション投資だ。

昔ながらの不動産投資で、老後に家賃収入を得る方法

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『50代のいま、やっておくべきお金のこと 新版』(中村芳子著/ダイヤモンド社)

 退職にそなえて資産をつくり、引退後の定期収入を得るための昔からのやり方がアパート経営だ。10年前に亡くなった母は中卒だったが、化粧品や下着のセールスパーソンとして人並み以上の収入を得ていた。贅沢はせず、こつこつ貯めたお金で土地を買った。最初は駐車場として貸していたが、晩年そこにローンでアパートを建てた。地方なので家賃は月4万円と安いが、6世帯あるので計24万円。老齢厚生年金のない母の年金は少なかったが、アパートの収入はそれを十分に補ってくれた。

 入居者が決まらなかったり、家賃を払わない人に居座られたり、空室が続いたり、いろいろ苦労したが、まわりが開発されたこともあって、過去15年ほどはずっと満室で、相続した父のよい小遣いの源になっている。地元の不動産会社が月数千円で管理を請け負ってくれているので、煩わしさもない。ただ、数年に一度は、外壁を塗ったり水回りをリフォームしたり、数十万円〜100万円以上の費用はかかっている。

 母の例は、昔ながらの不動産投資のやり方だ。将来性のある場所に安く土地を買い、ローンでアパートを建てて貸す。ローン返済中も少しプラスになる(家賃収入が返済額より少し多い)。ローンが終わったら、家賃収入をまるまる受け取ることができる。そのなかで、アパート経営の苦労も経験する。

 実は、母はもうひとつ別の土地も買っていた。それは「原野商法」、つまり「ここはいま原野ですが、確実な開発計画があるので将来必ず値上がりします」という詐欺だったらしく、価値のない土地に数百万円払っていたようだ。手放したくても、その土地はいまだに売れない。投資に失敗がつきもの、というのも母は教えてくれた。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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