ビジネスパーソンは、タクシーに乗る機会も少なくないと思います。あなたは、目的地に着いて降りる時に「領収書」をもらっているでしょうか。
仕事で乗車した場合は、経費精算のために忘れずに領収書を受け取るでしょう。では、「経費としては落ちないけれど、どうしても乗らなければならない」という時や、プライベートの場合はどうでしょうか。
経費として処理できなくても、タクシーの領収書は毎回もらわないと、思わぬ“損”をする可能性があります。今回は、その3つの理由をお伝えします。
(1)タクシーに忘れ物をした時に見つかりにくい
実は先日、筆者が家の鍵をなくしてしまい、「さっき乗ったタクシーの中だったかもしれない。どうしよう……」という出来事がありました。タクシー会社に連絡しようと思い、実際にすぐ連絡できたのは、領収書が手元にあったからです。
タクシーの領収書には会社の名前と電話番号が載っているので、見ればすぐに連絡することができます。また、「車番」という、車両が特定できる車体番号も書かれています(「ドア番号」や「無線番号」などと書かれていることもあります)。
タクシー会社に電話してその番号を伝えれば、すぐに該当車両が特定でき、忘れ物の確認がスムーズに進みます(筆者の場合、家の鍵は違う場所から出てきたため、再度お詫びの電話を入れました……)。
忘れ物に気づいた時、もし領収書がなかったら大変です。「確か、車体は緑色だったような……」「いや、それは前に乗ったタクシーだったかな」「タクシー会社がわからないと電話番号もわからない」と、途方に暮れてしまうことでしょう。
まずは忘れ物をしないように降りる際にしっかり確認することが大事ですが、万が一の時に助けてくれるのが、タクシーの領収書なのです。
(2)タクシー代の出費の多さに気付かない
「お金が貯まらない」と嘆く人のなかには、「マイカーがないし、マイカーを持つより安いから」と言って、頻繁にタクシーを利用している人がいます。
最近は、タクシーでも電子マネーでピッと料金を支払えるようになりました。「1000円ちょっとだし」「遅刻しそうだから」などと、どんどんタクシーに乗っていると、すぐに月数千円を超えてしまいます。タクシー代は、モノとして手元に残るわけでもなく、体験として思い出に残るわけでもないため、出費が多すぎても気付かない可能性が高いのです。
しかし、領収書をもらっていればどうでしょう。財布の中に溜まっていく領収書の束を見て、「最近、ちょっと乗り過ぎだったな」と気付くことができます。「タクシーに乗った」ことを可視化して、記憶に残すためにも、領収書をしっかりもらっておきましょう。
(3)再びタクシーを利用したい時に連絡先がわからない
取引先や訪問先は、電車やバスなどの公共交通機関でスムーズに行けるとは限りません。交通の便が悪い場所に行く時は、タクシーで往復することもあるでしょう。
行きは、駅前で客待ちをしているタクシーに乗ったものの、仕事が終わり「さぁ、帰ろう!」と思った時に、「流しているタクシーが見つからない……」と焦った経験がある人も多いかもしれません。
今はスマートフォンなどですぐにタクシー会社の連絡先を調べることもできますが、大手のタクシー会社に電話するより、さっき駅から送り届けてくれたタクシーのほうが、土地勘もあって何かと頼りになるはずです。そんな時、領収書をもらっておけば、すぐに連絡してスムーズに帰ることができるでしょう。
タクシーの乗りすぎは出費を増やしてしまうので要注意ですが、すべてが悪いというわけではありません。個室の空間で電話をしたり、メールをチェックしたり、睡眠をとったり、仕事にもおおいに役立てることができます。そういったメリットと出費のバランスを総合的に判断しながら、上手に利用したいものですね。そして、利用したら領収書をもらうのを忘れずに!
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)