実家、親が一生ローン払い無価値化…やっかいな実家処分問題が深刻化、不法滞在外国人の温床
来年度には新法が制定される予定の民泊も、外国人労働者の格好の隠れ蓑になる。新法ができることで、民泊をビジネスとする業者が大量に発生する。しかし、あくまでもインバウンド宿泊客の「補完」にしか位置付けられない民泊は、すぐに過当競争に陥り、顧客を求めてさまよい始めることだろう。制度だけでは管理できない「ヤミ民泊」の横行も心配だ。
借り手に悩むアパートオーナーも、生活保護世帯に次ぐ新しいお客様を表面上は「しぶしぶ」、心の中では「ほっとして」受け入れることになるであろう。一方で、「外国人慣れ」をしてしまった日本人側にも外国人のこうした姿に対して、「まあ、しかたがない」といったあきらめと寛容が生じている可能性がある。
今までは外国人といえば「異質な人」で、彼らの行動は国内では常に「目立ち」、監視される立場であったものが、「隣にいる普通の人」となってくるのだ。
空き家だらけでコミュニティが失われてしまった地域やアパート、マンションなどでは急速なスラム化がすすみ、不法滞在の外国人で溢れかえる。少数派となった日本人が町や建物から逃げ出すことで、スラム化には拍車がかかることだろう。
西側諸国の一員として行動する日本にも、テロに対する危機は今後高まることはあっても、今までのようなアジアの片隅の平和国家を継続することなどはありえなくなるであろう。その時、この空き家に「巣食っている」大勢の不法滞在外国人の中に、凶悪なテロリスト集団がいないとは、誰も断言できない。
かつて不動産、特に一生をかけてローンを返済して取得した住宅は、日本人にとっては間違いなく「資産」「財産」であった。皮肉なことに、この「財産」であったはずの住宅を相続した子供たちがその扱いに困惑し、行き場のなくなった住宅が、結果として不法滞在を助長する、凶悪なテロリストの温床となるのだ。
20年訪日外国人は、おそらく政府目標である4000万人を楽々クリアすることであろう。しかし、これも皮肉なことであるが、日本の都市のスラム化、治安の悪化は外国人観光客の足を日本から遠ざけることになる。ましてや日本もテロ事件に見舞われるようになれば、「インバウンド」というバブルはあっというまに雲散霧消してしまうかもしれない。営々と築いてきた観光大国への道の影に、将来の日本に対する警鐘が鳴っているのである。
(文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)