親の介護&実家整理問題が、あなたの人生や親族関係を破壊…介護前から話し合え!
保険証券はいかなる事情があれ、記載されている受取人が受取人となる。死亡保険金は固有の財産とみなされ、負債があっても受け取れる。
親の介護ではないが、重要なことなので質問をしたい。
ある人が急死した。死亡保険金の受取人は、離婚した前妻の名義になっていた。再婚していた場合、後妻に保険金は支払われるだろうか?
当然、後妻に支払われると思う人が多いだろうが、あくまでも受取人固有の財産とみなされるため、前妻に支払われる。
ちなみに、保険の受取人は、契約者の申し出があれば変更できる。介護をしている人に何か残したいのであれば、保険を利用することも頭の片隅に覚えていただきたいと思う。
保険を利用した代償分割も相続問題には有効であることは、ご存じだろうか。代償分割とは、相続人全員の遺産分割に関し、法定相続分以上の遺産を取得した相続人が、ほかの相続人に対して、相応の金銭などを負担する遺産分割の方法である。具体例を以下に示そう。
仮に、EとFという2人の子供がいて、唯一の財産が自宅の土地建物だったとする。この自宅をEが相続するとなると、Fには残してやれる財産はない。こうした場合、自宅を売却したと仮定したその売却額の2分の1、つまりF1人が受け取れるであろう額を、保険を活用することによって、Fに相当額を支払うものだ。
介護になる以前から親族間で話し合う
以上からいえることは、介護になってから介護を考えるのではなく、介護になる以前から、加えて、相続税がかかる・かからないにかかわらず、親族間の話し合いが望ましいということだ。
本稿では、介護保険制度以外に考えなければならない問題のごく一部を挙げただけだが、同制度の活用だけで介護問題が解決するわけではないことを、ご理解いただけただろうか。
その上で、企業にも従業員にも耳を傾けていただきたいことがある。
親族の介護に関して、残業はもとより介護休業や介護休暇を取得する必要が本当にあるのか、ということだ。
筆者が実際の相談事例を通じて痛感しているのは、ほかに方法があることを知らないばかりに、介護離職をしたり、介護休暇を取得している例が相当あるからだ。企業側も従業員の話を聞いたところで、どこまで踏み込んでいいのか、線引きもわからない。第一、実務に長けた専門知識もない。