本連載前回記事では、「お金を貯めたい」と思ったときに最初に家計簿に手を伸ばしてしまうと、失敗して「自分には貯蓄は無理だ」とあきらめてしまう危険性と、まずは月に1万円でも「お金を貯められる」という成功体験を味わうことの大切さをお伝えしました。
では、「月に1万円でも貯めることができた」という成功体験を積んで、いよいよ「家計簿をつけてみたい」と思ったとき、いったいどのようにつければいいのでしょうか。また、無駄遣いが自然と減るようになり、貯金額を毎月増やしていくためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
まずは、失敗しがちな人の家計簿のつけ方を見ていきましょう。
細かく、1円単位でつけると失敗する
家計簿をがんばってつけても失敗してしまう人は、「細かくつけすぎ」であることが多いです。家賃や水道光熱費、日々のランチ代や飲み物代、交通費……あらゆるものをすべてつけようとすると、1~2日で嫌気がさしてきます。
また、細かく1円単位でつけようとすると手間がかかります。手元と家計簿上の残金が合っているかどうかを確認すると、チェックポイントが増えて煩雑になります。忙しい大人の家計簿は、小さいころにお金を管理するクセを身につける目的も含めて記入した「お小遣い帳」とは別もの。「日々の無駄な出費を見つけるため」に目的を絞りましょう。ざっくりと100円単位でつけてOK。手元のお金と家計簿上の残金が合っているかの確認は割愛してOKです。
出費を「自動的」と「流動的」に分ける
出費を分類しないで並列に家計簿をつけていくと、実はややこしくなります。出費は「自動的」と「流動的」の2つに分けられることをご存じでしょうか。この2つに分けて考えると簡単で、頭のなかも整理しやすくなります。
まず、「自動的な出費」とは、いわゆる“固定費”のこと。家賃や住宅ローンの支払い、携帯電話代、水道光熱費、保険代、習い事代など、毎月ある程度一定額が銀行口座振替やクレジットカード払いで自動的に引き落とされるお金です。
メインの銀行口座やクレジットカードの明細を見て確認してみてください。多少の増減はあっても、毎月同じくらいの出費のはずなので、そのたびに家計簿をつけていては面倒です。まずは手帳の空いているページに、1カ月あたりの「自動的な出費」として書き出してみましょう。それらを合計すると、意外と大きな金額になると思います。
仮に手取り月収が22万円とした場合、家賃で7万円、携帯電話代で8000円……などと足していくと、「自動的な出費」は10万円を超え、手取りの半分以上を占めるケースもあります。手取りのお金を、自由気ままにすべて使えるわけではないことがわかります。
そこで、「携帯電話代はもう少し減らせないか」「保険に入りすぎていないか」「不要な習い事はないか」と、「自動的な出費」を減らすことを考えてみましょう。月5000円でも減らすことができれば、年間で5000円×12カ月=6万円が、自動的に節約できることになります。
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