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過去10年で資産が3倍に増えた「外国株式インデックスファンド」を金融機関が勧めない理由

文=島野美穂/清談社
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「gettyimages」より

 2019年に大きなトピックとなった「老後資金2000万円不足」問題。いつの間にか事態は沈静化した感があるが、老後2000万円問題は未解決のままだ。さらに、消費税は10%に引き上げられ、将来に対しての不安はふくらむばかり。そんな中、老後の資金を10年で2倍程度に増やす運用は難しくないと言ったら、どう思うだろうか? そんなうまい話があるわけない、と一蹴するかもしれないが、実際に可能だという。

老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社)の著者で信州大学経営大学院特任教授の上地明徳氏に話を聞いた。

年平均利回り7.6%の「外国株式インデックス」とは

「資産を10年で2倍程度にできる金融商品はあります。嘘だと思うかもしれせんが、事実なのですから……」と上地氏は言う。しかも、その金融商品は、どこの銀行でも、証券会社でも、はたまた山奥の郵便局にも売っているという。

「答えは、外国株式インデックスファンドです。外国株式インデックスファンドは、この49年間で年率平均7.6%の上昇率です。この数字で計算すると、投資額が10年で2倍以上になります。これが、『資産が10年で2倍になる』という根拠です」(上地氏)

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『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』(青春出版社/上地明徳)

 仮に、2008年のリーマン・ショック直後の株価が最も低い時期に購入していれば、2倍どころか3倍を超える計算になる。上地氏は、老後の資金づくりは、この外国株式インデックスファンドで「長期・分散・積立投資」をするのがベストな方法だと言う。

「外国株式インデックスファンドの一本だけで投資先は先進国22カ国に分散されているので、長期にわたって積立投資を行えば『長期・分散・積立投資』が可能になります。道のりは長いですが、着実に資産を増やすことができます」(同)

 しかし、不思議なことに、老後資金問題が世間を騒がせたにも関わらず、外国株式インデックスファンドは、あまり浸透していない。これには、金融機関の事情があるという。

「外国株式インデックスファンドの場合、基本的に販売手数料はほぼゼロです。また、1年にかかる手数料も0.5%程度。これはどこの証券会社でも郵便局でも同じで、顧客が100万円預けても1年間で5000円しか手数料が取れません。要するに、金融会社が儲からない商品なので率先して営業されず、そのため一般市民も知らないままなのです」(同)

外国株式インデックスファンドは今後も安泰か?

 とはいえ、年平均利回り7.6%というのは、あくまで過去50年のデータが示す数字で、この先も同じようにうまくいくとは限らないのでは? という疑問が浮かぶが……。

「長期積立分散投資は、世界が発展し続ける限り失敗しない運用方法。資本主義が成長を続ければパイ全体が大きくなるので、参加者全員が恩恵に預かれるプラスサムゲームなのです」(同)

 長い目で見れば、世界経済は拡大していくと考えるのが自然。そのため、最終的には右肩上がりになるというのが、長期積立分散投資の考え方なのだ。もちろん、長期間の運用の間に上がり下がりはあるが、老後の資金づくりという明確な目的があれば、一時的な下落は問題ではない。

投資は戦略ゲーム。目的が変われば戦略も変わります。日本人は、投資に戦略が必要なことを知らない人がほとんどです。そのため、ただ漠然と儲けたいという理由で投資をして、失敗してしまいます」(同)

 短期で儲けたい人が手を出すのは、決まってFXや株式の信用取引。いずれも投資知識が必須で、さらに運も重要だ。当たれば大きく儲かるが、外せば大きく損をする。

「FX、すなわち為替は上がるか下がるかの賭け。誰かが勝てば誰かが負ける仕組みのゼロサムゲームです。失っても大丈夫なお金で楽しむ分にはいいと思います。ただ、FXは勝ったままやめる人はほとんどいません。みなさん、大負けするまでやってしまいます」(同)

定期預金より50万円以上のプラスに

 老後の資金づくりは、現役世代の日本人に課せられたミッションでもある。かつて銀行預金の金利が7%だった時代には、公的年金と退職金だけで何不自由なく老後を送ることができた。しかし、今や公的年金の受給額は確実に目減りしており、まともな退職金をもらえるのは一部の大企業くらい。それすら、毎年2.5%ずつ減っているというデータもある。

「悠長に定期預金だけをしていても、それは資産形成とはいえません。現在、メガバンクやゆうちょ銀行では、定期預金も金利は0.01%しかありません。一方、外国株式インデックスファンドは短期的な上がり下がりはありますが、年率平均は今も7%を超えています。これだけ利率が違うと、定期預金と長期積立分散投資では数十年後のお金の増え方が圧倒的に違います」(同)

 たとえば、毎月1万円を預金で積み立てた場合、10年で積立総額120万円。定期預金では金利は0.01%なので、10年で120万595円にしかならない。一方、外国株式インデックスファンドは年平均7.6%。少なく見積もり7%で計算しても、10年で173万848円。実に、53万848円のプラスになるのだ。

「世界経済が今後も成長を続ける限り、高確率で同じような結果になると考えられます。定期預金と長期積立分散投資、どちらが老後の資金づくりに有利かは、数字を見れば一目瞭然なのです」(同)

 長期積立分散投資は、スタートが早ければ早いほど有利だ。積立額は1万円でも1000円でもいい。老後の資金がつくれるかどうかは、自分次第なのかもしれない。

(文=島野美穂/清談社)

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せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
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『老後の資金 10年で2倍にできるって本当ですか?』 「貯金ゼロ」「知識ゼロ」「投資経験ゼロ」でも「リーマンショック級の大暴落」がまた来てもリスクを抑えてお金を増やせる、世界では常識の資産運用術。 amazon_associate_logo.jpg

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