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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

田舎でのんびり親・祖父母のサポート受けて子育て!急増する孫ターンの「意外な落とし穴」

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
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田舎でのんびり親・祖父母のサポート受けて子育て!急増する孫ターンの「意外な落とし穴」の画像1「Thinkstock」より

 東京など首都圏に人口が集中する一方、昨今の地方創生ブームや国・地方自治体の地方創生政策などとも相まって、ふるさとや地方への「移住」が注目を集めている。

 ふるさとから進学就職を機に都会へ移住して、再び生まれ育った地域に移住する「Uターン」は、みなさんも良くご存じだろう。これ以外にも、ふるさとではなく、そこに程近い地方都市に移住する「Jターン」や、ふるさとにはない要素を求めて別の地域に移住する「Iターン」、いったんUターンでふるさとに戻ったが、利便性、刺激、仕事を求めて再び都市に移住する「Oターン」など、今や移住のカタチはさまざまであるようだ。

シニアから働き盛り世代へ移住希望者が逆転?

 そんな移住スタイルのなかでも、最近注目を集めているのが「孫ターン」である。これは、都市から地方へ、自分の両親あるいは祖父母の住む地域に移住する20~40代の孫たちの動きのことを指す。いわば、親世代を一代飛ばしたUターンあるいはIターンの変形ともいえるかもしれない。

「NPO法人ふるさと回帰支援センター」によると、同センターを利用する相談者は、2008年時点で利用者全体の7割が50代のいわゆるシニア世代が占めていた。ところが14年には20~40代が半数を超え、16年には同年代が7割近くになるなど、世代が逆転しているという。

 このように移住への関心が、シニア世代だけでなく若い働き盛り世代に広がってきたのは、ここ数年の急速な動きのようだ。さらに同センターによると、従来は移住先を選ぶ基準として第一に挙げられていたのが「自然環境のいいところ」だった。

 それが数年前から、「仕事があるところ」に変わってきたという。これも、移住希望者の年齢構成が「働き盛り」の20~40 代へとシフトしていることの現れといえそうだ。

「孫ターン」のメリットは自然いっぱいの子育て?

 これらの若い世代の移住希望者のすべてが「孫ターン」に該当するわけではないだろうが、多くを占めている可能性は高い。「孫ターン」が増えてきた背景として、各自治体などが実施している「孫ターン推進事業」が後押しとなっていることが挙げられるだろう。とはいえ、第一に、多くの若い世代が田舎暮らしの良さを魅力に感じているからにほかならない。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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