田舎でのんびり親・祖父母のサポート受けて子育て!急増する孫ターンの「意外な落とし穴」
地方移住のメリットとして、都心部に比べて、家賃・不動産、生活費などのコストが安いこと、新鮮な食材などおいしい食べ物・特産品に恵まれていること(しかも物々交換は日常)、いっぱいの自然に囲まれたスローライフが満喫できること、近場で気軽にアウトドアやレジャーが楽しめることなど、さまざまなものが考えられる。
とくに、首都圏等に住む6歳以下の子どもを持つ子育て世帯が、地方への移住・転職・検討を希望している割合は4割以上。そのきっかけは「子育てのため」がダントツトップである(図表参照)。
都市圏で、両親や祖父母など育児や家事をサポートしてくれる人もなく、孤独に子育てに奮闘している若い親世代が、自然に囲まれてのんびりと子育てをしたいと思う心情は、同じような子育てを経験した者としてよく理解できる。
「孫ターン」なら、移住による経済的負担もより軽減?
一方、地方移住のデメリットとしては、就職先・働く場が少ないこと、公共交通機関が少なく移動手段のほとんどはクルマで、それに関するコスト等がかかること、医療機関や娯楽施設が少ないこと、冠婚葬祭の多さ・近所づきあいや人間関係の煩雑さなどがある。
さらに、本コラムに掲載した『「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高も』でご紹介したとおり、必ずしも田舎暮らしのコストが割安になるわけではない。
しかし、「孫ターン」の場合、かつて幼少期に夏休みやお正月などのたびに両親と帰省し、その土地の雰囲気や環境に馴染んでいる人も多いだろう。そのため、まったく見知らぬ土地に移住するよりは、心安いに違いない。
また、祖父母が住んでいるだけに地元の人々の「よそ者」意識も薄い。「〇〇さんちのお孫さん」と周囲が認めてくれれば、信用や信頼関係も構築しやすいというものだ。
さらに、地方移住の場合の家探しは、大きな心配の種のひとつ。これも、祖父母と同居すれば、その問題は解消できる。その上、家賃や生活費のコストも抑えられるというもの。多少、転職等で収入が減少したとしても、経済的にも余裕が生まれる可能性も高いだろう。
このように孫ターンは、通常の地方移住のデメリット解消やハードルを下げてくれる妙策ともいえる。