「長寿貧困」回避で大注目の「トンチン年金」は入るべき?高齢者も加入可、死ぬまで支給
「トンチン年金」のデメリットは?
もちろんトンチン年金にもデメリットがある。長生きしなければ損をするという点だ。例えば、男性より長生きリスクの高い女性の場合、50歳で加入し、70歳で払い込み満了後、年金受け取りを開始する場合、元が取れる年齢は93~95歳。その前に亡くなると元本割れしてしまう。
さらに、現在のような低い料率では、貯蓄性商品としてのオトク度は決して高いとはいえない。
しかし、そもそもトンチン年金は加入者から集めた保険料を、亡くなった人の分まで生き残った人が懐に入れる「ゼロサムゲーム」のようなもの。それを、現在、発売されている商品は掛け捨て嫌いの日本人向けにアレンジされているものだから、いかんせん中途半端感が否めない(まったく新しいコンセプトの商品だけに、金融庁の認可の制約が非常に厳しいという事情もある)。
たしかにトンチン年金の考え方が日本人の気質や文化に馴染みにくいのは理解できるが、長生きリスクを保険でカバーするのであれば、元が取れるとか取れないとか、といった観点で検討するのはちょっと違うのでは、とも感じている。
とくに資産を残す必要の低いおひとりさまや子どものいない夫婦などのなかには、トンチン年金の意義や本質を正しく理解し、あくまでも長生きした場合の保障と割り切れる消費者もいるはずである。実際、周囲にトンチン年金のしくみを説明して、「死んだらゼロですが、長生きしても安心です。こんな年金に入りたいですか?」と尋ねてみると、入りたいという人は多かった。
公的年金でも長生きリスクを軽減できる!
ただ、長生きリスクに対応できるのはトンチン年金ばかりでない。
身近な国民年金や厚生年金といった公的年金でも受給方法によって、リスクを軽減できることを知っておくべきだ。
本コラムの前編で、年金の繰上げ受給について少し触れたが、公的年金は65歳からの受給が原則。それを、60歳以上65歳未満の間で繰り上げたり、66歳以上70歳未満の間で繰り下げたりして受給できるしくみがある。この場合の年金額は、早くもらうと減額、遅くもらうと増額されて、それが一生涯続く。