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2023.04.22 01:09
2018.03.11 16:40
黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」
「長寿貧困」回避で大注目の「トンチン年金」は入るべき?高齢者も加入可、死ぬまで支給
したがって、年金が支給される前に「まだ長生きしそうだし、もう少し働けるので生活はなんとかなりそう」というのなら、繰下げ受給の手続きをすれば、年金額は1カ月繰り下げるごとに0.7%増える。70歳まで待てば、なんと42%もアップされた年金が一生受け取れる。
わかりやすく具体的な金額でオトク度を考えてみよう。例えば、65歳からの年金額が100万円だと仮定すると、70歳から繰下げ受給した場合、142万円になる。もしも65歳から70歳までに受け取ったとすると年金総額は500万円だから、その分は約12年で回収できる(500万円÷42万円=11.9年≒約12年)。つまり、82歳まで生きるなら、繰下げ受給したほうがオトクというわけだ。
平均寿命から考えると、男女いずれも繰下げ受給を選ぶほうが有利なはずだが、厚生労働省のデータによると、実際に繰下げ受給を選択する人はわずか1.4%にすぎない。一方、損をしてしまうのに、繰上げ受給を選択する人は、年々減少しているものの35.6%と、結構な割合だ(図表参照)。
しくみの認知度の低さもあるだろうが、このあたりにも「もらえるものは確実に早くもらっておきたい」という日本人の気質がよく表れているような気がする。
いずれにせよ、トンチン年金は社会的なニーズの高い分野だけに、今後も参入する保険会社が出てくる可能性は高い。さまざまなニーズに応じて、50歳未満からでも加入できたり、返戻率をアップさせたりといった、よりトンチン性を高めた商品が登場することを期待している。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)
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