「長寿貧困」回避で大注目の「トンチン年金」は入るべき?高齢者も加入可、死ぬまで支給
前回は、長生きリスクとトンチン年金の概要についてご紹介してきた。今回は、トンチン年金のメリット・デメリットを見ながら本質的な意義について考えてみたいと思う。
「トンチン年金」のメリットは?
トンチン年金の最大のメリットは、長生きリスクに対応できること。
かんぽ生命の「長寿のしあわせ」のみ年金受給期間最大30年の有期年金となっているが、それ以外の商品は、亡くなるまで年金が受け取れる終身年金(日本生命の「グランエイジ」と第一生命の「ながいき物語」は確定年金もある)である。一定年齢以上長生きすればするほど、オトクになるしくみだ。
設定可能年金額は商品や年金開始年齢などによって異なるが、最高3,000万円までの高額設定も可能。もちろんその分保険料も相当な額になるので、実際には公的年金を補完する上乗せ年金的に契約されるケースが多いようだ。
しかし極端なことをいえば、トンチン年金を契約しておけば、所定の年齢まで長生したとしても、それ以降、決められた年金が一生涯受け取れるわけだから、それまでに手持ちの預貯金を使い果たしてもよいということになる。
となると、リタイアするまでに準備しておけばよいのは、トンチン年金の受け取り開始年齢までに必要な金額のみで済む。リタイア後も安心して預貯金などを取り崩すことができる。もちろん、ストックが十分にあれば、これらの保険に加入する必要もないのだが、高齢になると不動産や株式などは管理や処分などが予想以上に大変だ。それに対して、定期的にフローとして入ってくるなら、それを使ってもまた次があると思えば安心だし、使い勝手も良い。
「トンチン年金」でライフプランの常識が変わる?
要するにトンチン年金を上手に活用すれば、経済的な見通しや計画がしやすくなるわけだ。まさに、従来のライフプランの考え方を根本から変えてしまう商品となり得る。トンチン年金を取り扱う保険会社の担当者によると、トンチン年金に加入したのは、50代など、これから本格的に年金を準備しようと考えている人以外に、すでに年金生活に入っている60代も少なくないという。
この方々は、現役時代に10年や15年など有期型の個人年金で老後資金を準備しているケースが多い。そうなると75歳前後で収入が公的年金のみとなるため、その年齢が近づくにつれ経済的不安に駆られ出す。トンチン年金は、いずれの商品も告知や医師の診査なしでも申し込みできるので、持病があっても問題なし。高齢者でも加入しやすい(といっても、商品の特性からすれば、病気がちな方は加入しづらいだろうが……)。