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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

銀行ATM手数料「貧乏」の怖さ…一生で100万円以上も、家賃振込は1回で648円

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

108円、216円の手数料、チリも積もれば……

「108円とか216円とか、細かい貧乏くさい話だなあ」と思うかもしれない。私の友人に、会社のビルから横断歩道を渡ると自分の銀行があるのだが、それが面倒で、いつも手前の他銀行のATMを使っている無精者がいた(エクササイズと思いなさいとたしなめたが)。

 彼は週の初めと週末に1回ずつ、月に計8回くらい引き出すとのことで、108円を4回、216円を4回とすると、1カ月のATM手数料は 1,296円。大したことはないが、1年で1万5,552円、10年で15万5,520円だ。一生分をあと70年とすると108万8,640円。結婚して夫と妻それぞれがこの無駄を続けると、ふたりでなんと計200万円以上になる。

そのほかにも振込手数料やいろいろ

 ATMでの現金引き出し手数料に無頓着な人は、それ以外の銀行の手数料、振込手数料なども無駄に多めに払う傾向がある。毎月9万円の家賃の振込手数料、同一銀行でネットで振込手続きをすると無料。ATMから同一銀行の他支店への振り込みで108円。他行あてにキャッシュカードを使ってATMで振り込むと648円もかかり、年7,776円の差が生まれ、現金での振り込み、窓口での振り込みだともっと高くなる。

 水道、ガス、電気料金など、コンビニで手払いする人も多いが、銀行からの自動引き落とし(口座振替)にすると、口座振替割引が受けられる。それぞれ月54円(水道は2カ月に1回支払い)なので、全部を口座振替にすると年1620円の得だ。ちなみに、ポイントが貯まるという理由でクレジットカード払いにする人もいるが、使いすぎのリスクがあるので、クレジットカードでの公共料金の支払いは、個人的にはすすめていない。

 手数料は一回あたり50円や100円、数百円と小さい。小さいが軽く見てはいけない。小さなことに気を配れないと、大きなこともコントロールできないものだ。

 新社会人には、まずは万一に備える「緊急資金」として生活費1カ月分を貯めてから、なるべく早く「投資」を始めるようすすめているが、そこでも大切なのは手数料。投資の基本商品である「投資信託」を買うときに、同じような商品で手数料が2%のものと0%のものがある。「わずか2%の違いなんて!」と侮るなかれ。今は想像できないかもしれないが、投資はいずれ10年、20年、30年を経ると数百万円、数千万円となる。このときに1%や0.5%の手数料の差が、数十万円、数百万円以上の差を生み出すことになる。

 その手数料の考え方、コントロールの基本姿勢が、ATM手数料にある。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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