私が「50代こそ投資を始めなさい」と言う理由…すぐできる“保守的運用型”投資の始め方
投資未経験者は、口座を持っている銀行で始めよう
初心者がまずつまづくのは、どこに、つみたてNISAの口座を開けばいいか、というところ。金融機関によって、買える投資信託の種類が違う。
欲張れば、「商品の種類が多い証券会社で」となるが、そうすると「証券会社を選ぶ」ステップが必要になり、そのためには「どの証券会社が、どんな投資信託を扱っているか」を調べなくてはいけない。どんどんハードルが高くなっていやになる
いちばん大切なのは、“始める”ことなので、欲張らず、いま自分が口座を持っている銀行で、つみたてNISAを始めよう。銀行のウェブサイトを見て、つみたてNISAの説明を読むのがいいが、できれば、時間をつくり窓口に出向いて、説明を聞いてみよう。平日なかなか銀行に行けないなら、昼休みに電話で問い合わせてもいい。とにかく、その銀行でつみたてNISAの口座をつくり、積立てる商品(投資信託)を選んで、今月からすぐに積立てを始めよう。金額は上限の3万3000円がおすすめだ。
バランス型よりも、日本の株式と海外の株式を組み合わせる
投資の基本は株式だ。それを買いやすく、売りやすく、小口にして、リスクを小さくしたのが投資信託だ。だから、つみたてNISAで選ぶときも、株式を選ぶのが基本。日本の株式と外国の株式がある。国内株式、海外株式と呼ぶこともある。
ところが、銀行の投資信託のメニューをみると、「バランス型」と名前がつく投資信託が多い。
バランス型というのは、たとえば、「日本の株式+海外の株式+日本の債券+海外の債券+日本のREIT(不動産)+海外のREIT」など、種類が違うものを数種類組み合わせている。種類が多い=リスクが小さい、ということで投資初心者は、「バランス型」を勧められることが多い。
私は実は、バランス型は勧めていない。投資初心者は、投資信託の上がり下がりを見て経験して、なぜ上がったか、なぜ下がったかの理由を考えたほうがいいからだ。たとえば、こんな具合。
・円安になって、日本の経済が元気になったから、日本株式の投資信託が上がった。
・アメリカの景気がよくなって、世界的に株式が値上がりしたから、海外株式の投資信託が上がった。
・急に円高になったから、相対的に海外株式が下がった。
・自動車の関税が高くなってトヨタや日産の株価が下がったから、日本株式が下がった。
自分のお金と世界の経済や政治とのつながりが見えてきて、つながりを実感することができる。移民問題も海外の選挙結果も、あなたのお金に関係してくる。
ところが、日本も外国も、株式も債券もひとまとめにしたバランス型だと、値動きは緩やかになるけれど、なぜ上がったのか下がったのか、わかりにくい。投資しないよりはいいが、投資をしても世界を実感することはできない。
そういうわけで、たとえば日本の株式と海外の株式を、好きな割合で組み合わせることをお勧めしている。それ以外に、海外の債券、日本のREIT、海外のREITなどがメニューにあれば、それも加えて、自分なりのポートフォリオをつくってみる。
投資を始める。つみたてNISAを始めると、投資のことをいろいろ勉強することができる。お金は増えやすくなり、人生も広がる。お金が増えることは保証できないが、人生が広がることは保証できる。さあ、いつまでもぐずぐずしていないで、すぐに口座を開きましょう。
(文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー)
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