確定申告“特典”があふれた「青色申告」を選択しない理由はない…何ひとつデメリットなし
元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな申告は「修正申告」です。
いわゆる「確定申告」は、所得税の確定申告を指します。税務的には、法人税や贈与税、相続税、消費税とさまざまな確定申告がありますが、社会的には、みなさん個人個人の収入にかかる税金である所得税の確定申告のことを意味するでしょう。
申告には「白色」と「青色」があり、白色のほうが申告に手間がかからないラクな方法です。しかし、数年前から、白色申告でも記帳と書類の保存が義務づけられました。きちんと帳簿に売上や経費の記録をつけ、さらにその記録の根拠となった書類を保存しておかなければならなくなったのです。
会社員の方からすれば、そんなことは当たり前です。取引の記録がなければ、その年の利益もわかりませんし、自分のビジネスプランが商売にどのように影響したのかもわかりません。それでも、白色申告を選択し、記帳していない人がたくさんいました。発展途上国時代のいい加減な仕組みのまま、商売をしている人がたくさんいたわけです。
そんないいかげんな税制度ではみっともない、そして、正しく申告している青色申告の人たちとの公平性が担保できない、きっとそんな考えがあって改正に至ったのではないかと思います。
日本の税制度は、申告納税制度です。みなさんが自分で所得を計算して行政に申告します。行政は基本的に、それを信じるしかありません。もちろん、不正や誤りのある可能性があるので、税務調査などによって是正できるようになっています。
そもそも、白色申告という制度は必要なのでしょうか。正しく申告しようと思ったら、青色申告の要件を満たす記帳が必要です。しかし、誰も帳簿のつくり方なんて教えてくれないし、少ない収入のなかで税理士に報酬を支払う余裕もない。適当な人間でも申告できる白色申告は、怠け者にうってつけの制度といえます。
誤解のないように言っておくと、白色申告者のなかにも正しく申告している方は大勢います。その方たちが青色申告にしないのは、制度の単純不知によるもので、もっと青色申告の良さと白色申告の欠点を伝えれば、白色から青色に変更するのではないでしょうか。