それが夢に終わったか、笑顔をもたらしたかはさておき、なぜこれほど多くの人が宝くじに目の色を変えるのか不思議でならない。こんなに分の悪い賭けはないのだ。なぜなら、控除率が悪すぎるのである。
ギャンブルにおける控除率とは、賭け金に対してどれだけの手数料を取られるかという割合を意味する。
ここで主なギャンブルの控除率を比較してみよう。
・宝くじ…53.7%
・サッカーくじ(toto)…約50%
・競馬、競輪、競艇…約25%
・パチンコ…約10~15%
なんと、宝くじは代金の半分以上が手数料となるのだ。
カジノのテーブルゲームで控除率が高いといわれているアメリカ式ルーレットの控除率でさえ、5.26%といわれている。世界的に見ても、日本の宝くじは控除率が高い――つまり、購入者に不利な仕組みになっているといえるだろう。
当せん金に税金がかからないカラクリ
そうはいっても、小さな元手で一獲千金を夢見ることができるのが宝くじである。そのうえ、どんなに大きな金額を手にしても、当せん金には税金がかからないのだ。これも魅力のひとつになっているのではないだろうか。
前述したように、購入代金のうちの半分以上は手数料として持っていかれるため、当せん金に充てられるのは売り上げの46.3%だけ。
53.7%の手数料がどう使われているかというと、12.6%は諸々の経費に使用され、41.1%は都道府県・指定都市など自治体の収益になるのだ。300円の宝くじを1枚買ったとして、約123円の税金を払っているのと同じことなのである。つまり、購入者は税金を先払いしているのと同じだから、当せん金にまで税金をかけないのは当然の話なのだ。
控除率が低ければ、もっと多くの人が1等を獲得してもいいはずである。賞金の大きさに目がくらんでしまうものの、宝くじほど割に合わないギャンブルはないといえる。
(文=長尾義弘/フィナンシャル・プランナー)