借金から逃れる方法はあります。自己破産、任意整理、個人民事再生、特定調停の4種類です。
自己破産とは、支払い不能にある個人の申立により、その個人の総財産をもって、債権者に公平に配当する清算手続きです。ほとんどの財産を失うことになります。
任意整理とは、法的手続きによらず、債務者が債権者と交渉して債務を整理する方法です。通常、弁護士や司法書士が代理人となって、消費者金融やクレジット会社と交渉をして、借金の減額や利息の一部をカットして返済方法などを決め、和解します。
個人民事再生手続きとは、裁判所が認めた金額を3年間(例外として5年間)、債権者に支払って借金を整理する手続きです。計画通り返済が終われば残りの負債は免除してもらえますが、手続きが難しいので弁護士に依頼する必要があります。
特定調停とは、債務の返済ができなくなる恐れのある人の生活を立て直すために、返済額を減らしたり、返済期間を延ばすことを調停委員会のもとで話し合い、以後も支払いを続けていく手続きです。財産を失うこともなく、申し立てのためのお金を準備する必要もありません。法律をよく知らない債務者にもわかりやすく、負担が少ない制度です。
●各制度のメリデメ
それぞれの制度のメリットとデメリットは、以下のようになります。
(1)自己破産
【メリット】
・債務が免除され、借金がなくなる
【デメリット】
・債務者の必要最低限の財産以外はすべて換価され、債権者に配当される
・官報、破産者名簿に記載される
・住所の移転、長期旅行が制限される
・5~10年はローン、クレジットカードの作成が困難
(2)任意整理
【メリット】
・官報に掲載されないので第三者に知られない
【デメリット】
・5年程度はブラックリストに載る
・まれに、和解が成立しないことがある
・弁護士費用がかかる
(3)個人民事再生
【メリット】
・保険、自宅、車を手放さなくて済む
・債務が原則5分の1に減額(最低額100万円)
【デメリット】
・官報に記載される
・5~7年ブラックリストに載る
・手続きが複雑なため、手間と時間がかかる
・手続きが難しいため、弁護士に依頼する必要がある
(4)特定調停
【メリット】
・申立手続きは自分で簡単にできる
・申立費用は1社当たり500円程度
・利息の見直しがされる
・調停成立後は利息の発生が止まる
・秘密が守られる
【デメリット】
・調停のため、平日に裁判所に行かなければならない
・5年以内に返済できる原資がないと調停ができない
・5~7年間、ブラックリストに載る
●簡便・低費用・短期の制度、「特定調停」
残念なことに、上記の制度の中で、最も手続きが簡単で、費用もほとんどかからず、時間もかからない特定調停が、一般にほとんど知られていません。
特定調停は法律知識を持たない当事者でも、簡易裁判所の窓口にある申立書に返済可能金額での分割払いの希望等を自分で記載して手続きを進めることができます。わからないことがあれば、裁判所の職員が説明してくれます。
申立手数料も債権者1社につき500円程度で借金全部をまとめて、返済可能な金額で分割して返済することが可能です。話し合い成立後は、利息は発生しないので、いつになっても返済が終わらないという事態から逃れられます。通常、1回の準備(生活状況、返済可能金額等の確認)と1回の調停で合意が成立するのが一般的です。債務に対する利息は利息制限法の範囲内に引き直し計算されますので、債務自体が減少する場合があります。
銀行の利息が0.02%程度の時代に、消費者金融の利息は、その約1000倍にもなるのです。時間が経過すると、利息は雪だるま式に増えてしまいます。借金から早く逃れたいと思っている方は、自分一人で簡単に利用できる調停制度を利用して、早く平穏な生活を取り戻すことをお勧めします。