一括りに昭和40年代生まれといっても、学生の頃から就職期にかけ、バブルの恩恵を少なからず受けた40年代前半生まれと、学生時代にバブルがはじけ、就職難を経験した40年代後半生まれとでは、世代にギャップがあるように思える。
ともあれ、この世代は今、40代である。40代といえばそろそろ転職も難しくなる世代であり、恐らくは人生の中で一番、仕事に忙殺される年代だろう。家庭を顧みれば子どもの教育費負担が重い。小遣い制を敷かれ、およそ個人消費から最も疎遠になりがちな世代である。
●貯めグセをつける
そこで、冒頭の話につながる。こうした相談に対しては、「貯め上手になるには、貯めグセをつけること。そして使い上手になること」と、アドバイスしている。
収入がいかに増えようと、それに比例して支出も増えたのでは貯まる額は増えない。支出を減らすには、「1回当たりの支出額(単価)」を落とすか、「支出頻度(回数)」を減らすかのいずれか、またはその両方が必要だ。
しかし、いつ使ったのか記憶に残らないような使途不明出費をせず、潤いある生活の実現のためには、頻度を落としてでも単価は落としたくない。例えば、少々高くても、長く使い続けられる上質な品を購入したい。また、ヘトヘトに疲れる旅行でなく、「また、こういう時間を持ちたい」と思える体験を得たい。外食する際には、思わず所作まで変わるような、心から美味しいと思える店での食事をしたいものだ。
もちろん、こうした出費はめったに行えるものではない。必然的に頻度は減る。そして、「それにお金を使うために普段はセーブしよう」と意識が働く。
この1年間のお金の使い方を考え、その優先順位を決め、“とっておき”のことにお金を回すようにしてみよう。
そのような意識を持つことによって、月に何度も散財するファミレスへの出費でなく、1カ月先の、値段が時価表示の料亭で食事をするためのプチ貯蓄へと行動が変わる。単なる消耗品ではなく、自分でアイロンがけをしてまで質を保ちたくなるような、半年先に手に入れるオーダーメイドのスーツやシャツのための貯蓄や、クタクタになる旅行でなく、2年先に実現させるプチ贅沢な体験のための貯蓄をするようになる。
●発想の転換で貯めグセは自然と身につく
考え方次第で、貯めグセは自然に身につくものだ。どうせ使うお金だ。“消費”ではなく、いっそ“自分への投資”と、発想を変えてはどうだろうか。
「使い上手は貯め上手」とはよく言ったもので、一見、贅沢な使い方をしている人ほど貯蓄が多い傾向がある。そして、使ってはすぐに貯まる。別に収入が潤沢なわけではない。散財せず、ここぞという時にお金を使うために、メリハリのある生きたお金の使い方をしているのだ。トータルの支出も、実は少なくなりやすい。