非常にリスクの高い投資といえるが、コンドミニアム投資を行っているのはどのような人が多いのだろうか?
「(本文冒頭の利回り660%を謳う物件について)調査したところ、購入者は外国人が半分程度で、その中には日本人も数十人が含まれていることがわかりました。この物件は日本人を狙ったものではないですが、それでも日本人も多く購入し、比較的年齢の高い人が多いようです。これまで東南アジアの不動産に投資されたいという日本人は、30代ぐらいの比較的若くて情報収集力のある人が多かったのですが、最近はそれも変わってきています」(同)
●リスクを踏まえて慎重な検討が必要
その背景には、日本の金融環境の変化がある。今年の1月に日本銀行がインフレ目標を2%に設定したが、銀行金利は0%に近いまま。つまり、日本に資産を持っていても、毎年2%ずつ価値が目減りする事態となってしまってしまう。そのような状況になって、もともとあまり投資でリスクを取らない60代以上の人で、老後の資金などを運用されているような人が、東南アジアの不動産などに投資をするケースが多くなってきているのだという。
「そのような方が大切な資金を、販売業者だけの話を信じて投資をしてしまうことは非常に危険です。不動産価値が上昇している中、詐欺的な話も多く存在しますし、ほかにも短期間でコンドミニアムをつくって安く売るという地元系開発会社なども存在します。その結果、欠陥住宅なども多くなっており、このような物件を購入してしまうと高額な修繕費用を長年にわたり負担し続けなければならなくなり、賃貸に出そうにも借り手もなかなか見つからないという事態に陥ってしまいます。そのような危険も多分にある市場だと理解された上で、一度慎重に調査・検討されることをお勧めします」(同)
タイでもまともな不動産を賃貸に出した場合の正常な利回りは長期的には6~8%であり、希少な出物情報を使って購入しても10%程度が適切なレベルだという。
「タイの場合は現状、不動産の取得や維持の税金もなく、また新築物件でもまだ不動産価値の上昇が続けば、売却時の価格上昇(キャピタルゲイン)も期待できます。しかし危険な話も多く、そのリスクをも踏まえて慎重に検討することが必要です。特に高齢の方などは、老後のためにコツコツと貯めてこられた大切な資金ですから、それを失ってしまう人が少しでも減ってくれたらと思います。私どもも、このような被害が減ってくれればと考えて、タイで不動産調査サービスを行っています」(同)
東南アジアの不動産は確かに利回りの期待も大きいが、そのリスクも含め、慎重に選び抜く姿勢が必要なようだ。
(文=編集部、取材協力=Asia Investment Support)