ビジネスジャーナル > マネーニュース > 過熱するタイ不動産投資危険  > 2ページ目
NEW

利回り660%保証?過熱するタイ不動産投資の“危険な”実態 日本人も被害の恐れ

文=編集部、取材協力=Asia Investment Support
【この記事のキーワード】, ,

●詐欺や欠陥住宅も多数

 タイのコンドミニアム投資については、販売側からは営業用に都合の良い話が多く出されている。そこで今回は、タイで不動産投資に関する調査サービスや、独自調査に基づいた不動産情報を提供しているAIS(Asia Investment Support)に取材し、最新の実情を聞いた。

「現在、確かに東南アジアの不動産価格は上昇しています。すでに随分と上がってしまった東南アジア全般の株などに比べると、タイなどの不動産はまだ比較的割安なものの、今後は観光業などで大きく上昇が期待されているため、観光地で人気のパタヤなどのエリアは価格が上昇しています。今年に入ってからもパタヤでは、人気の場所は3カ月ごとに不動産価格が上昇しているという状況にあります。しかし上昇が期待できるからといって、安易に日本の個人投資家の方などが、タイの不動産へ投資をするのは危険だと思います。タイでは不動産価格の上昇から、ありえないような利回りを宣伝して、まだ建てられてもいない『コンドミニアム建設予定』の権利を先に売りつけて、実際には建設が終わる前に開発会社が倒産してしまったり、欠陥住宅のような物件を売りつけたりする被害などが増加しているのです」(AIS担当者)

 パタヤでは、今年に入ってからは特に、地元系大手ディベロッパーでも、ありえないような利回り保証を宣伝して一般客に売るケースなどが実際に出てきているというが、その儲けの構造はどうなっているのであろうか。

「開発会社としては、仮に建設したコンドミニアムの全部屋が定価で売れたとすると、その売り上げは物件の原価である土地代、建物の設計・建築代、販売代、その他の合計コストに対して2倍程度になるように不動産販売価格が設定されています。これが現地の不動産価格の一般的な相場で、これを超えると相場より高く、コンドミニアムがなかなか売れなくなるのです。実際の販売現場では、相場で販売しても売れ残ってしまう部屋が出たり、安くしないといけない事情ができたり、建築代などのコストが想定よりかかったりして、実際には原価の2倍にまで増えることは少なく、うまくいった物件でも1.5~1.6倍程度となることが多いのが実情です。また、土地の買収から設計、建設、そして引き渡しの完了までにかかる期間は1.5年~2年程度。つまり、成功すれば2年弱で投資額の1.6倍ぐらいになるという商売なのです」(同)

●トラブル回避法とは

 そんなコンドミニアムビジネスだが、開発会社の中には、まだ土地だけの企画段階で「建設予定」として販売し、とんでもない利回りを宣伝して販売するケースも多いため、注意が必要だという。

「開発会社側には、保証する利回りに加えて、その「権利」を一般の個人に売る販売コストもかかる以上、実際に保証された利回りよりもずっと高い収益を実現しなければ会社としては利益が出ません。そして実現しないとなれば、会社は計画倒産するなどして契約もろとも消滅してしまうケースも多いのです。このような物件では契約においてキャンセル条項がついていないことがほとんどです。つまり、一度払い込んだら返金されることはまずありえず、転売もなかなか難しい。そしてディベロッパーが倒産した時には資産など残すわけもありませんから、回収は非常に難しいのです」(同)

利回り660%保証?過熱するタイ不動産投資の“危険な”実態 日本人も被害の恐れのページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!