JPX日経400は、日本取引所グループと東京証券取引所、そして日本経済新聞社が共同で開発した新しい株式指数だ。東京証券取引所に上場されている銘柄の中から、特に投資効率のよいものを選んでいることが、この株価指数の最大の特徴だといえるだろう。
TOPIXは、東京証券取引所第一部に上場しているすべての銘柄を採用している。中には業績が悪かったり、財務状態のよくない企業も存在するだろう。投資の効率性を求めるのであれば、赤字企業に投資をするのは避けたいと思うのが普通なのではないだろうか。
特に効率性を強く求めているのは海外投資家だ。彼らは、投資を行うに当たってROE(株主資本利益率)を重視する。これは企業の「稼ぐ力」を見るものであり、いわば株主が投資した資金を使って、会社がどれだけの利益を得たのかを測る指標だ。ROEが高いほど株主(=自己)資本を効率よく使って利益を上げる経営を行っていると判断することができる。
日本企業のROEは米国企業や欧州企業に比べて低く、投資する魅力に乏しいといわれている。このため、日本企業を国際的に比較すると、収益率が低く除外されてしまう可能性があった。JPX日経400が創設されたことによって、今後、経営者がROEを意識した経営を行っていくだろう。日本の企業が再評価される可能性の高まりを期待している。
●ROEと株主資本コストを意識した経営が重要
なお、JPX日経400を構成する銘柄の決定には、ROEだけを基準にしているのではない。まず債務超過や営業赤字のある企業をふるい落とし、次に過去3年間における売買代金や時価総額を勘案して、1000銘柄に絞り込みを行う。いわば流動性や企業の大きさも加味することになる。
さらにROE、営業利益、時価総額の3項目によって総合的なスコアリング(順位づけ)を行うわけだ。この後、海外に向かってアピールしているかどうかを判断する。例えば、社外取締役を選任している場合や、国際財務報告基準(IFRS)を採用している場合には点数が増えるしくみだ。最終的に、スコアが高い順に400銘柄を選定し、構成銘柄とする。