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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

「地方移住でのんびり幸せ生活」の落とし穴…意外な出費多く、都会より生活コスト高も

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

大都市と小都市で生活費の差は毎月2.6万円

 一般的に、地方は都会に比べて生活コストが割安なイメージがあり、それに惹かれて地方移住する人も少なくない。

 確かに都心部に比べ不動産価格は断然安く、全国の自治体がインターネットで提供している「空き家バンク」などで検索すれば、戸建てが格安で賃貸できる物件なども多い。

 また、地方は物々交換の文化がまだまだ根強い。畑で収穫できた野菜や果物、山で採ってきた山菜・きのこ、海や川で釣れた魚介類や鹿肉などなどをもらったり、あげたりすることが日常茶飯事。お金をかけずとも食べるものには困らないだろう。

 しかし、地方が都会よりも生活費がかからないとは限らない。総務省の「家計調査年報(平成27年)」によると、都市階級別の2人以上の世帯の消費支出は、もっとも高い大都市が約29.8万円なのに対し、もっとも低い小都市B・町村(人口5万未満の市)は約27.2万円と、その差は約2.6万円である。年間では30万円以上の差があるのでおトク感はあるかもしれないが、給与水準など収入が低ければ、相殺されてしまう。

 ちなみに、人口5万未満の地方都市というと、たとえば兵庫県南あわじ市や高知県南国市、千葉県館山市などといえば想像がつくかもしれない。

 さらに、どの地方に移住するかで生活費も異なってくる。

 同調査の地方別の消費支出(月額)を比較すると、もっとも高いのは関東だが、僅差で北陸となっており、いずれも30万円以上。もっとも低い沖縄と比べると約8.7万円の開きがある。

 沖縄は移住先としても人気が高いが、利便性の高い関東を希望する人もいるだろう。どの移住先を選ぶかによっても、コストが変わることをお忘れなく。

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地方移住ではお付き合いにかかる費用に要注意!

 移住した場合、想定以上にかかる費用としては、交通費や光熱費、冠婚葬祭費・交際費などが挙げられる。

 交通の便の悪い地方ではクルマが必需品であり、駐車場代は必要ないものの、ガソリン代や自動車関係費などのコストはかかる。私の出身地方でも、一家に1台ではなく、家族一人ひとりがマイカーを持つ。ガソリン代などは、需要と供給の法則から都会のほうが安かったりする。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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