●今は買い時ではない
今回の調査は、不動産マーケティング会社・スタイルアクトのデータによる。同社代表取締役沖有人氏が1月に上梓した『2018年までのマンション戦略バイブル』(朝日新聞出版)の中でも中古マンション価格の下落幅についてふれており、「(一般的に)新築マンションが1年後に中古市場に出た場合、東京23区内の平均で5%程度、新築時より値下がりすることがわかった。これは東京に限っての話であり、埼玉県や千葉県の物件となると、その差は15%にも広がる。それだけ都内のマンションは値下がりしにくい」という。
さらに沖氏は、「今は新築マンションを買うべきではない」と警告する。なぜなら建築費の高騰で「13年末頃に建築会社がデベロッパーに提示したマンション工事費は、11年3月の東日本大震災前の20%増しから、物件によっては50%増し」になっているからだ。つまり、現在の新築物件の価格は、過去数年に竣工した同クラスの物件と比べ、かなり割高になっているというのだ。
裏を返せば、現在の新築物件は、近い将来大幅に値下がりする危険性が高いのだ。
「23区内で14年に分譲されたマンションが竣工から1年後に中古市場に出た場合、平均で10%以上の値下がりが発生することが予想できる。購入に必要な諸経費約2%を含めると、合計12%以上の損失が見込まれる」(沖氏)
このように見てくると、マンションを購入するには、エリア選びと個別物件を見る目が欠かせないといえる。その物件を見る目を養う一助になるのが、中古不動産サイトの中古マンション価格だ。不動産情報サイト「Yahoo!不動産」は仲介業者も御用達であり、現在、中古市場で流通している中古マンション価格を把握することができる。また、スタイルアクトが運営するマンション価格サイト「住まいサーフィン」は、データの取れた中古マンションの時価を掲載しており、近隣の相場観を養うことができる。
中古マンション購入を検討するならば、このようなウェブサイトなどを活用して目を肥やし、できるだけ資産価値下落幅の少ないエリアを選びたいものだ。
(文=松井克明/CFP)