目の前に積みあがるタスクを必死でこなすだけの毎日。視野の広さは自分のデスクの幅だけ。仕事の全体を俯瞰する余裕はないし、もちろん仕事を楽しむ余裕もない。そして気がついたら一週間が終わっている…。
仕事に手ごたえを感じられないまま、あわただしいだけの毎日を何年も続けている人は要注意。あなたの仕事人生はスキルも身につかず、成果も出ず、楽しむことすらできない寂しいものになってしまう可能性がある。まして、社会人にとって仕事の時間は大きなウェイトを占める。この時間の充実度は人生全体の充実度にもかかわってくる。
■仕事ができる人は「忙しい」と言わない
仕事に追い立てられていては、肝心の仕事の精度も落ちてしまう。結果的に成果も出にくく、いっそう仕事に追い立てられていく。『仕事を楽しめる人は「忙しい」と言わない』(古川裕倫著、扶桑社刊)は、この悪循環から抜け出し、仕事に振り回されない生き方を手に入れる方法を解説していく。
著者の古川裕倫氏によると、“仕事ができる人は「忙しい、忙しい」と言わない。”
タスクが積みあがっていると「忙しい」という言葉がのどまで出かかるが、そこはぐっとこらえた方がいい。「忙しい」を連発すると、幸せも運も遠ざかってしまうというと非科学的に聞こえるが、人は邪魔をしてしまうことを恐れて、忙しい人に話しかけるのを控えるものだ。必然的に話しかけてくる人は少なくなり、入ってくる情報も減る。
ちょっとした雑談の中にビジネスの種や有益な情報が混じっていることは珍しくない。これは「運を逃す」と言っていいはずだ。
■「ムダ時間」を作らない
できる限り効率的に仕事をこなしているつもりでも、隅々に「ムダ時間」が入り込んでしまうもの。
たとえばちょっとしたものが見つからずに探している時間や、忘れものをして取りに帰る時間。または、「言った、言わない」という生産性のない水掛け論でもめている時間。振り返ってみると、結構こういうことで時間が過ぎてしまっている。
整理整頓を心がけると同時に、打ち合わせや会議で物事をあいまいにせず、メモやメールの形で残すことで、こういうタイムロスを減らすことができる。仕事の中に入り込む「ムダ時間」は多分これだけではない。一度自分の仕事の仕方を振り返ってみると、一日のスケジューリングを苦しくしてしまっている「ムダ時間」を洗い出すことができるはずだ。
■先送りをしない
仕事の中にはすぐに結論がでないことや、もう少し情報を集めてから判断したいこともある。だから、ついつい決断を先送りしてしまいがちだが、仕事は決断してはじめて前に進むもの。そして、ほとんどの決断は「100点満点か0点か」ほどの大きな違いは生まない。せいぜい85点と95点の違いくらいだ。それならば早く決断してさっさと行動すればいい、と古川氏は言う。
仕事は進まず、それゆえ経験が残らず、次への改善点も見えない。だから仕事の実力も伸びない。「先送り」の弊害は思っているよりも大きいのだ。
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本書では、仕事に追いまくられるだけの毎日ではなく、自分の方から積極的に仕事を追いかけ、仕事を楽しみ、仕事を通して幸福を感じるために何が必要なのかを解き明かしていく。
時間の使い方やマインドセット、能力の伸ばし方など多岐にわたる至言の数々は、ストレスを感じるばかりだった仕事を、やりがいのあるものに変えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。