親が運転免許証を返納してくれない。足腰が弱ってきたから同居を提案したが、受け入れてくれない。
というように、高齢者といわれる年齢にさしかかっている親とのコミュニケーションに悩む人は多いだろう。親が頑固で意見が食い違う。意見を聞いてくれない。では、そんな親とうまく話をするにはどうしたらいいのか。
『精神科医が教える-親のトリセツ』(保坂隆著、中央公論新社刊)では、高齢の親との話し方、接し方が、具体例を含めながら紹介されている。
■高齢親に免許の自主返納を求めるにはこれが有効
高齢ドライバーが起こす交通事故のニュースを見て、自分の親のことが心配になる人も多いだろう。自治体でも免許証の自主返納を促しているが、地方に住んでいる場合は車がないと生活ができないという現実もある。このような場合は、どのように説得すればいいのか。
本書によると、まず「自家用車の代わりにタクシーを使うようにしたらどう?」という相談から始めてみるのがいいそう。おそらくタクシーばかり使っていたらお金がかかる、という反応が返ってくるはず。
しかし、JA共済の試算によると、維持費に軽自動車で年間40万円弱、普通小型車で年間45万円ほどかかる。免許証を返納して自動車を手放せば、タクシー代を毎月5万円ほどまでなら、今までとほとんど同じような生活を維持できるのだ。
それでも聞いてくれない場合は、踏み違い防止装置を付ける提案をすると比較的素直に受け入れてくれやすい。また、「孫が心配している」というのも効果的だという。息子や娘の忠告には耳を傾けなくても、孫の言うことに心が動くケースは多いようだ。
また、車の運転のほかに、振り込め詐欺などのお金のトラブルも高齢になった親を持つ人にとって心配の種だ。振り込め詐欺の被害額は、毎年数百億円を超えるが、これは被害届が出ている金額。実際の被害はこの数倍に達するのではないかと言われている。
親は被害にあっても「子供に心配かけたくない」「騙された自分が悪い」と考える傾向があり、騙されても黙っている場合が多い。なので、それとなく生活状況に目配りをすること。定期的にチェックすることで、異変にも気づけるはずだ。
年寄りの言うことを聞かざるを得ない。年寄りをうまく言いくるめる。このようなネガティブなコミュニケーションではなく、相手を尊重してもっとお互い歩み寄るコミュニケーションをとるべきなのだろう。親との接し方に悩んでいる人は、親のトリセツからヒントを得てはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。