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松崎久純「ビジネスパーソンの自己啓発」

無意識のうちに周囲から“遠ざけられる”人たちの共通点

文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表
無意識のうちに周囲から“遠ざけられる”人たちの共通点の画像1
「Getty Images」より

 悪口を言ったり、ネガティブなことを口にして、自分の周囲から人を遠ざけてしまう人を見かけます。多くの場合、本人は無意識のようですが、それによりビジネスパーソンとして人気のない人になったり、私生活で異性を追い払ってしまうのは残念なことです。どんなことが起きているのか、思い当たる点があれば注意したいものです。

悪く言う人に周囲はどう接するか

 あなたの周りには、人や物事を悪く言う癖を持った人はいるでしょうか。普段から何に対しても批判的だったり、ぼやき癖のある人もいれば、それほど攻撃的ではなくても、ネガティブなことを言う人がいるかもしれません。

 彼らの多くは、特に悪口を言っている意識のないまま、何かを非難しています。そして周囲の人たちは、あからさまにその人たちを避ける態度は取らないとしても、警戒していたり、できるだけ近寄らないようにしているものです。ネガティブな話は聞きたいものではありませんし、自分が批判の標的にされても困るからです。

 悪口を言う人(たとえばAさん)は、Bさんを批判したとき、自分から離れていくのはBさんだけでないことを自覚せねばなりません。Aさんからは、その様子を見ていただけで批判はされていないCさんやDさんも離れていきます。CさんやDさんは、なぜ離れていくのでしょうか。それは、彼らは批判の対象ではなかったものの、Aさんが「批判する人」であることを知り、警戒するからです。

 Aさんの批判が正しいかどうかは問題ではありません。批判されたBさんが実際に全員から咎められることをしていれば別ですが、そうでなければ、Aさんはただ「他人を悪く言う人」と認識されてしまいます。

 たとえば会社の会議で、皆が誰かの悪い行いをできるだけやんわりと注意するのは、この点を心掛けているからです。必要な指摘はしても、「このくらい言えばわかる」という程度で収めておく人が多いのではないでしょうか。もちろん場合によっては、厳しく注意することも必要ですが、「悪いことを見つけたら、執拗に攻撃してくる人」と受け取られると、一緒に働きたいと思ってくれる人が減ってしまいます。

SNS上でも同じことが起こっている

 私たちは、必ずしも対面だけでなく、SNSでも同じような注意が必要です。たとえばツイッターでも、人について書くことはもちろん、一般的なニュースについて書くことにも気をつけたいものです。政治や企業の動向について、何か批判的なことを述べれば、いくらもっともなことを書き込んでいても、その人はネガティブに何かを批判する人に見えてしまいます。たとえツイートを読んだ人が、書いた人と同じことを感じていたとしても、書いた人を批判的と思うことは変わらないでしょう。

 筆者の周囲には、女性でルックスもいいのに、なかなか恋人のできない人たちがいますが、彼女たちの多くは、実は日頃からSNSに書き込むことがネガティブです。おそらく無意識に、そして悪気もないのだと思いますが、批判的といえることを繰り返し述べてしまっているのです。

「あの人たちの仲間入りしないでよかった」

「会社、マジでムダ会議多過ぎ」

「電車の中、うるさい。隣の連中めぇ!」

という具合です。

 別に間違ったことを書いているわけではないのでしょうが、失礼ながら、こんなネガティブなつぶやきをする人を恋人にしたい人は少ないのではないかと思えます。彼女たちの特徴としては、どうでもいいことや、どうにもならないことを批判していて、全体として悲観的に見えてしまう点です。

「祭日が月曜ばかりなのは、ちょっと……といつも思う」

 これもひとつの考えとして受け止めれば、別におかしくはないことですが、もう少しユーモアを持って書けば、ファンもできるのにと思えて残念です。

誰に見られているかわからない

 いつ誰が見ているかわらないSNSでは、不用意な批判などはしないのが常識的です。ビジネスパーソンであれば、SNSに書き込んだことは、あらゆる人が読んでいると想定しておきましょう。他の人と一緒になって何かを非難したり、それで盛り上がったりすることもやめておくべきです。

 ビジネスパーソンは、普段から仕事で人(特に取引先の人たち)と揉めるのはご法度です。Eメールも腹が立っているときに感情にまかせて書いてはいけません。その分時間がかかっても大丈夫ですから、冷静になってから誰が読んでも間違いのない文章を書きます。自分が送ったEメールは、送信相手だけではなく、相手の会社の人たち全員が見ていると考えておくべきです。

 個人としてSNSを書くときにも、実際にそのメッセージ見てもらいたい相手だけでなく、他の多くの人が見ていることを忘れないようにして、悪口や不満を述べるのはやめておきましょう。

 あなたが男性であれば、女性が「あなたがどういう人か」を知ろうとして、あなたのSNSをチェックしに来ています。その女性たちは、今はあなたのことが好きでも嫌いでもありませんが、SNSであなたのぼやきを読んだときには、あなたを付き合いたい男性の候補から外してしまうでしょう。

客の立場で観察してみる

 ビジネスパーソンは普段から、悪口を言わないよう十分な注意が必要です。商談中はもちろん、接待中やいわゆるアフターファイブにも注意しましょう。あからさまな悪口だけではなく、前出のツイートのような、ちょっとしたネガティブなつぶやきも同様です。私たちは一度ネガティブな印象を与えると、なかなかその印象を変えてはもらえませんから気をつけたいものです。

 自分が顧客の立場になって考えてみるとよくわかります。たとえばいつも行く床屋の主人が、店のテレビで流れるワイドショーを見て、誰かを非難しているとしましょう。どうでもいいことではあっても、あまりそれが続くようでは、もう少し気持ちのよい会話のできる床屋を探したくなるのではないでしょうか。行きつけの鮨屋の板前が、世の中を悪くばかり言っている人であれば、どうでしょうか。

 私は昔、勤務先近くの定食屋でランチをとっていたときに、店の人たちが私の会社の悪口を言いはじめ、やたらと盛り上がるのを見たことがあります。彼らは私がその会社の従業員とは知らなかったようですが、他の客もいるところで、あまりの不用意さに驚いたものです。そしてそれから10年ほど経った現在でも、その店については「客の悪口を言う店」という印象しかありません。

 顧客にも異性にももてたければ、まずは何に対しても悪口は言わない人になることです。そうすれば人が集まりやすくなり、あなたが人として、そしてビジネスパーソンとして持つ良さを見ようとしてくれるでしょう。

(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)

松崎久純/グローバル人材育成専門家

松崎久純/グローバル人材育成専門家

サイドマン経営代表

企業の海外赴任者や海外拠点の現地社員を対象にグローバル人材育成を行う専門家。サイドマン経営・代表。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科非常勤講師。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ 成功するための真の要因』(光文社)、『英語で学ぶトヨタ生産方式 エッセンスとフレーズのすべて』(研究社)、『イラストで覚える生産現場の英語』(ジャパンタイムズ)など多数。

Twitter:@HardLifeEasy

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