会社員が会社でどれだけ出世できるか、というのは自分の実力もさることながら「上司に恵まれるかどうか」という点も大きい。
いい上司につけば仕事の進め方を学べるうえに将来自分を引き上げてくれるかもしれない。しかし、悪い上司に当たったら…。ここで紹介するのは会社員のAさんが体験した「最悪のケース」である。
■部下の手柄を横取りする上司、逆らうとひどい事態に
IT関連企業で働くAさんが営業チームに編入されたのは入社3年目。トップのB部長は「キレ者」と呼ばれ将来の幹部候補と目されていた。もちろん人当たりもよく、Aさんはいい部署に配属されたと喜んだ。
そんなAさんがB部長に疑念を抱くようになったきっかけは、会社の重要プロジェクトでAさんがプレゼンを任された件だった。見事そのプレゼンを成功させたAさんだったが、翌日社内でその手柄を自分のものにしてしまっていることに気がついた。
よくよくB部長の仕事ぶりを観察するようになると、万事「部下の手柄の一番おいしいところを持っていく」パターンだった。逆にミスはすべて部下の責任だ。Aさんは、B部長の社内での名声が、部下の成果を横取りし、自分に都合のいいようにでっちあげて作られた「伝説」だということを知ったのだ。
そんなある時、B部長の判断ミスをいつのまにか自分のミスにされたAさんは、ついにB部長への不満を口にする。すると、B部長はAさんに「飼い犬に手を噛まれるってのは、こういうことを言うんだろうね」と言い、その日からAさんへの態度が豹変し、いじめとも取れる仕打ち繰り返すようになったという。
それは、時に自分のミスの責任をAさんになすりつけ、取引先で土下座させるといった常軌を逸したものだった。そして口答えするようなら人格否定に近い言葉で罵倒する。
ただ、B部長の特異な点は、別室でAさんを激しく罵倒した直後、自席に戻って落ち込んでいる彼に向って「どうした? 元気がないじゃないか」と、先ほどの怒りを忘れたように言うことだった。そこにはB部長の危険な性質が見え隠れする。
■部下を支配しようとする「サイコパス」上司に注意
近年「サイコパス」という言葉が広く知られるようになっている。
人に共感することがなく、自分にとってメリットがあるうちはチヤホヤするが、利用価値がなくなったら全否定する、そしてそんな自分に罪悪感を持つことはない。そして、自分に歯向かうものは徹底的につぶしにかかるのだ。
ここで取り上げたB部長はまさしくこのタイプにあてはまるが、どこの職場にも程度の差はあれど、B部長に近い性質を持つ上司がいるものではないか。もし自分の上司にその兆候を感じるならば、注意が必要だ。彼らは、部下を率いて仕事の成果を上げることではなく、部下を操り、支配することに喜びを感じているからである。
もし、このような「サイコパス上司」に敵視されたらどうすべきか。
『ゆがんだ正義感で他人を支配しようとする人』(梅谷薫著、講談社刊)では、その効果的な対処法が解説され、「職場にいられなくなる」「職場でいじめられつづける」といった事態を回避するのに役立つだろう。
会社というのは自分にとって「いい人」ばかりがいるわけでも、「立派な大人」だけが集まるわけでもない。そんな当たり前のことを本書は気づかせてくれる。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。