コンサル面接「五輪メダル獲得のためマラソン人気高める方法は?」と聞かれた際の対処術
戦略コンサルティングファーム(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ等)が就職人気ランキングの上位にランクインするようになってから久しいが、未だ人気は衰える気配がない。
事実、弊社(ムービン・ストラテジック・キャリア)へのご相談も一定以上の数を維持しつづけているが、一方で狭き門である戦略コンサルティングファームの面接で挫折し、転職活動自体を断念する候補者も後をたたない。
今回は、そのようなチャレンジ精神溢れる候補者の皆様に少しでも参考になれば、との想いから、戦略コンサルティングファームで出題されるケース面接に対峙する際に覚えておきたいtipsを3回に分けてお伝えしていきたい。
※ なお実際のケース面接同様、解はなく、あくまで筆者の一見解であることを申し添えておきたい。
そもそも「ケース面接」とは何か?
「ケース面接」とは、戦略コンサルティングファームが候補者の“コンサルタントとしての素養”を測る目的で実施する面接形式を指す。“コンサルタントとしての素養”とは大きく以下2点に分類される。
※ 無論、業界知見等も広義の“素養”として含むケースはあるが、今回はあくまでソフトスキルに限定させて頂く
・論理的思考力
→ 課題を正確に定義し、幅出し及び深堀りし、優先順位を付けたうえで、対策を立案する力
・コミュニケーション能力
→ 上記を一定以上のスピードで、正確に伝える力
「ケース面接」の分類
「ケース面接」は大きく以下3つのパターンに分類される。
(1) フェルミ推定
(2) ビジネスケース
(3) (1)、(2)以外
(1)のみが課されるケース、(1)→(2)に繋がるケースなど場合によって様々だが、今回は皆さんが比較的不得意とする②のケースを具体例とともに考えてみたい。
日本代表がオリンピックのマラソンでメダルを取るためには?
ここからいよいよ具体的な例題に取り組みながらポイントを解説していきたい。
2021年に日本でオリンピックが開催されることもあり、オリンピックを題材としたいと思う。皆さんはオリンピックに何を期待するだろうか? 多くはやはり日本代表の活躍(メダル獲得)であろう。
では、例えばあなたがM社の戦略コンサルタントであると仮定し、日本陸上競技連盟から以下依頼を受けたとする。さて、どのような戦略を立てるだろうか?
【依頼】
(今年は無理だとしても)4年後に日本代表がオリンピックのマラソンでメダルを獲得するためにマラソン人気を高めたい。どうしたらよいか?(10分考えてみて欲しい)
tips1:前提(お題)を疑う
皆さんは依頼を受けてどのように考えただろうか?
「マラソン人気なんか高めなくても、アフリカの選手を帰化させればいい!」などと思いつきのアクションに飛びついていないだろうか? そこまで行かずとも、「マラソン人気を高めるにはどうしたらいいだろう?」と思考し始めていないだろうか?
このような依頼が来た場合、まずはそもそも依頼主が正しい言葉で正しく依頼をしているかを疑わなければならない。依頼内容を再度見ていただくと、何か違和感を覚えないだろうか? 思いつくだけでも以下の疑問が湧いてくる。
・メダル獲得のためにマラソン人気を高めたいと言っているが、そもそもマラソン人気を高めればメダルを取れるのか?
・そもそも「マラソン人気」とは何を指すのか?
・メダルは金メダル、銀メダル、銅メダルがあるがどのメダルでもいいのか?
いかがだろうか。実際のコンサルティングPJの中でも往々にして同様の状況が起こりうる。仮に前提を確認せずに作業に着手してしまうと、PJの途中で依頼主から、「そういうことを言っていたわけじゃないんだけど、、」というフィードバックを貰い、軌道修正を余儀なくされる。
まずはしっかりと前提(お題)を疑い、正しい課題設定をすることが重要である。
tips2:現状の課題を“構造化”する
しっかりと依頼内容を疑い、依頼内容を以下のように修正したとする。
【依頼(修正後)】
4年後に日本代表がオリンピックのマラソンで「金銀銅いずれかのメダル」を獲得するために(削除「マラソン人気を高めたい」)「そもそもどのような施策を講じれば良いか?」(削除「どうしたらよいか?」)
依頼内容が定義されたとして、ここで「じゃあどのような施策がいいかな?」といきなりアクションを考え始めてはいけない。アクションは“課題を解決するため”に実行するものであり、課題設定をせずにアクションは立案できない。従って“そもそもなぜメダルを取れないのか?”と現状を分析し課題の抽出を行う必要がある。
課題抽出にはWhy型のツリー構造でのアプローチが効果的である。
後述のように、「なぜオリンピックのマラソンで日本代表はメダルが取れないのか?」というWhyを起点とし、1段、2段・・と深堀りをしていく。また、深堀りをする際は“幅”も出来る限り出せるように意識したい。“漏れなくダブり無く”(MECE:Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)を意識しながら切り分けていくことができればベストである。
上記のようにある課題について、幅出しをしつつ深堀りし、完成するのがWhy型ツリーであり、“構造化する”と表現することが多い。
次回は構造化した課題に優先順位付をし、対策を立案するところまで取り組んでいきたいと思う。それまでに、ぜひご自身で構造化をしてみていただきたい。
(文=北原大道/ムービン・ストラテジック・キャリア)