新型コロナウイルスのパンデミックに由来する世界的な景気後退はほぼ確実、国内でも職を失う人や内定を取り消される人が出るなど「お金」にまつわる不穏なニュースが多い昨今。そうなると、「給料以外の副収入を」と考えるのは自然なことだろう。
比較的少額で始められ、上手にやれば一定の利益を出せるとされる「FX」は、こんな時こそ「やってみよう」となりやすい。
ただ、初心者が始めて、いきなり継続的に利益を出せるほど、投資は甘くない。『初心者からプロまで一生使える FXチャート分析の教科書』(鹿子木健著、総合法令出版刊)は、FXで欠かせないチャート分析の手法を解説するとともに、準備体操なしで、いきなり走り出してしまう初心者投資家に警鐘を鳴らしている。
■FXで「暴走」は致命的
個人投資家である著者は、FXには始める際に「絶対スキップしてはいけないこと」があるとしている。
まず、一つ目が、「暴走しない決心をすること」。FXは決して「ギャンブル」ではないし、スリルを味わうためのものでもない。特にチャート分析を使う手法は、チャートの動きをよく研究したうえで、自分が投資をする条件と、利益確定・損切をする条件を決め、その通りに粛々と行う、どちらかというと地味な作業だ。
このことがわかっていないと、FX投資は暴走して、勝てる見込みのないタイミングで、身の丈に合わない規模の取引をしてしまう。もちろん、これでは利益は出せない。
■FXは「一攫千金」を目指すものではない
お金が欲しくてFXを始めるのだから「一攫千金」を目指したくなるのは理解できるが、これも相場に踊らされ、自分を見失う原因になる。
だから始める前に、「FXで何をしたいのか」を明確にすることが大切だ。これも、鹿子木氏が挙げる「スキップしてはいけないこと」の一つである。
収入を5万円でも増やせればいいのか、まとまった資金が欲しいのか、老後の生活資金として年金にプラスして収入が欲しいのか、あるいはやりたいことがあって、そのための資金が必要なのか。人によってFXに目をつける動機は違う。その動機がはっきりしている人だけが、FXで必要な知識を入れる勉強もできるし、利益を出すための地味な作業を淡々と続けることができる。FXは手段であって、目的であってはいけないのだ。
■最低でも1年の準備期間を
準備もせずに、いきなりトレードを始めて「うまくいくだろう」などと考える人に、FXをやる資格はないと私は思います。(本書より引用)
ろくに勉強もせず「とりあえずやってみよう」で始めがちなのがFXの特徴。しかし、鹿子木氏はそんなふうにFXを始める人に厳しい言葉を投げかける。
投資銀行の元ディーラー、投資歴何十年の猛者、現役のファンドマネージャーといった人々がひしめくのがFXの世界。彼らですら毎回利益を出せるわけではないのに、始めたばかりの初心者が勝てるはずもないからだ。
継続して利益を出すことができるようになるまでには基礎的な準備が必要。そもそもチャート分析の勉強を始める前ですら、頭に入れるべきことがある。鹿子木氏によると「1年間は準備が必要」。これもスキップしてはいけないポイントの一つだ。
準備なしノウハウなしで始めてもうまくいくことはないと心得ておきたい。
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「再現性」と「普遍性」がないトレードはただのギャンブルになってしまう。本書ではそうならないためにも、必要な準備とチャート分析の方法、そして、トレードのノウハウを解説していく。
どれだけ準備をしても、経験を積んでも、勝率10割にはならないのが投資の世界。それでも少しでも勝率を上げることはできる。そのために必要なことは全て身につけてから、トレードに臨んだ方がいいだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。