社会的な地位や職位が高くなったとき、その立場にふさわしい気づかいができないと、人はついてこないだろう。そして、気づかいのできる人は、相応に器が大きいもの。
では、器は大きい人は、どのように人と接しているのだろうか。
『「一流の存在感」がある人の気づかいのルール』(丸山ゆ利絵著、日本実業出版社刊)では、「男性にも年齢を聞かない」「『任せた』は安易に言わない」など、社格・職位・専門性にふさわしい存在感の身に付け方や、一流がさりげなくやっている心をつかむ行動を紹介している。
ここでは、器の大きい人が、他人と接するときに心がけているポイントを3つ挙げていこう。
■部下に「任せた」と軽々しく言わない
「人に仕事を任せることが上手な人は成功する」とよく言われるものだが、その任せ方を間違えると、生産性が上がらないばかりか、部下の成長を阻むことになってしまう。
「任せる」ことは権限の拡大を意味する。自分の重要性が増したと感じることで、向上心や自立に対する意欲が高まり、それが成長につながるわけだ。
しかし、「任せた」と言いながら、部下が判断すべきところを細かく口出ししたりするような「任せていない状態」は、部下の成長を著しく妨げてしまう。
著者の丸山氏は、任せることで生じるリスクを想定しながら、部下に依頼する範囲を明らかにすれば、成長に応じて的確な指示がしやすくなると言う。また、仕事の出来上がりがどういう状態であることが理想なのかをすり合わせ、共有することも大切だ。
■人の「領域」をおかさない
部下が担当する仕事について、あれこれ口出しするようなことは厳禁。表面からはわからないが、当の本人には深い考察や判断があるかもしれないからだ。
では、万が一、相手の領域に入らないといけないときはどうすればいいのか。
一流の人はまず、その理由を説明するよう努める。例えば部下だからといっていきなりズカズカと入っていきはしない。どんな場面においても相手の心を慮り、必要な敬意を払うのだ。
■「お世辞」を上手に切り返す
その人の品性や知性は、その人がほめられたときにいっそう引き立つものだ。
「いやいや、そんなことありません」と、せっかくの好意的な言葉を否定するばかりでは、謙虚でいるつもりであっても、相手の言葉を否定するのと同じ。自分も相手も立てられるように振る舞える人には知性や余裕を感じるものだ。
「ほめられ上手」になるには3つのテクニックが必要だと著者は言う。
一つ目は卑下するような態度はとらず、堂々と友好的な表情や態度を保つこと。二つ目は、ほめ言葉そのものよりも、ほめてくれた相手の気持ちに感謝するような表現をすること。三つ目は、相手の美点を見つけてほめかえすこと。
器の大きい人は、周囲の人から慕われる。そして、地位が高くなればなるほど、相手を思いやる気づかいは大切になるはずだ。
一流の人が気づかいできるのは、「人の大切さに気づいた」など、どこかで「気づき」があって、考え方や行動を変えた結果であることが多いという。本書から何かの「気づき」を得て考え方や行動を変えてみたら、一流の気づかいに近づいていけるのだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。