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怪獣・明石家さんまが放つ金言集…強烈なプロ意識と壮絶人生ゆえの人生訓・死生観

文=小島浩平/ロックスター
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怪獣・明石家さんまが放つ金言集…強烈なプロ意識と壮絶人生ゆえの人生訓・死生観の画像1『本人vol.11』(太田出版)

「(自分のキャラは)一生やねん。続けなあかんねん」

 これは、ハロプロのアイドル・ももちこと嗣永桃子に対して、明石家さんまが放った一言。最近、トレードマークだった「ももち結び」をやめて、ぶりっ子キャラもなりを潜め始めた彼女に対して、「お笑い芸人発想からいうと~」と前置きしてこうコメントしたのだ。

 さらに、さんまは続ける。

「ファンからの俺のキャラ設定があったりすんねん」
「ファンはこういう俺を期待しているだろうから、それに乗っかってやろうと。本当はこのコメントしたくないねんけど、ファンはこういってほしいだろうからというのが、ゴチャゴチャになってきてん。ほいで、今、築きあがってる。60歳の明石家さんまが」

 裏で行っている努力を見せたがらないさんまにしては珍しい発言。「ネアカ」だと思われがちなさんまだが、このコメントからもわかるとおり、どこかで自分自身を演じている節はあるのだろう。

 思えば30年前、こんな事件もあった。『さんまのまんま』(フジテレビ系)に『こんにちは赤ちゃん』などのヒット曲で知られる歌手・梓みちよがゲスト出演した時。「昔は好きだった」といったさんまに対し、怒った梓がグラスに入った飲みかけのシャンパンをかけた。それも2回。1度目は笑ってやり過ごしたものの、再度やられたときは、さすがにさんまの表情にも憎悪が滲み出る。

 しかし、そこから彼の本領が発揮される。煮えたぎる怒りを即座に冷却処理し、「あー冷たかったー!」とおどけてみせたのだ。張り詰めていたスタジオの空気が一瞬にして弛緩し、それまで怒っていた梓も思わず笑っていた。「ファンが期待している明石家さんま」を演じ続ける男だからこそできる、離れ業ではないだろうか。

 こうした強烈なプロ意識を持ちながら、芸能界を40年以上走り抜けてきたさんまは、一般の人々が仕事でも生かせるような名言・箴言を多数残している。本稿ではその一部を紹介していこう。

「生きてるだけで丸儲け」

 BEGINがさんまのために書いた楽曲『笑顔のまんま』の歌詞にもある、あまりにも有名な一言。自分の娘・IMALUの名もここから来ているあたり、さんまにとっていかに大事な人生訓かというのが窺える。

 さんまの人生において、「生」の反対である「死」を強烈に意識した瞬間は、最低でも2度あった。1度目は仲の良い腹違いの弟が19歳で焼死した時。2度目は『ひょうきん族』(フジテレビ系)の収録が早めに終わって1便早い飛行機に乗ったおかげで、「日本航空123便墜落事故」を免れた時である。いつ自分が死ぬかわからない――。そんなリアルを体験した男だからこそ、「生きている」という現状に感謝し、限りある命を燃やすように笑いにすべてを賭けられるのだろう。

「20代の借金は貯金や」

 さんまは高校卒業後すぐに、裸一貫で笑いの世界に飛び込んだ身。若いうちは金銭的な苦労もしただろうし、肉体的、精神的な辛苦も負ったに違いない。その経験があったからこそ、今の成功に至ったのだろうから、重みのある言葉である。

「努力して報われる思うから裏切られるねん。報われる保証なんてないんやから、やりたいことを努力せえや」

 同期で若手時代は一緒に営業周りもしていた島田紳助氏が手広く他事業を展開していたのとは対照的に、さんまは笑い以外に興味がなさそうに見える。おそらく彼がもつ「人を笑わせたい」という思いは本能に近い欲求であり、きっと、売れても売れてなくても、一途に心血を注ぐ価値のあるものととらえているのだろう。

「なんとも思われないよりは嫌われるほうがマシ、好きに変わる可能性が残っているから」

「好きなタレントランキング」の上位に入りながら、嫌いなタレントランキングの上位にも入るさんま。人に愛され、嫌われながら40年近く芸能界の第一線にいる男だからこそわかる人間心理ではないだろうか。

「いや~ん、ナイスキック!」

 街中で後ろから一般人に蹴られたときに、発せられた伝説の一言。24時間・明石家さんまとして生きる彼にとって、不条理な暴力さえも話のネタなのだ。いつでもプロ意識を忘れないことは大事だが、ここまでくると、ちょっと恐い。

 これら豊富な人生経験に裏打ちされた明石家さんまの名言。何か壁にぶつかったとき、ふと思い出してみると良いだろう。究極にポジティブな発想の数々が、あなたの悩みを軽くしてくれるに違いない。
(文=小島浩平/ロックスター)

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