仕事のレポートやメール、SNSの投稿やネットの記事など、日常の中で文章を読む機会は多い。そこで必要になるのが「読解力」だ。
文章を読み取る力をつけ、言葉を組み立て、文章全体の意味を読解できるようになると、社会のさまざまな動きも読み取ることができるようになるのはもちろん、デマやフェイクニュースの類にも誘導されにくくなる。生きていく上でも重要なスキルだ。
■読書が苦手な人向けの読解力向上ノウハウとは
『すばやく鍛える読解力』(樋口裕一著、幻冬舎刊)は、35年以上にわたって大学受験生の小論文を中心に文章指導を行ってきた樋口裕一氏が、基本的な読解についての説明、そのノウハウを応用し、下手な文章や癖のある文章をいかに正確に、深く読解するか、について解説する。
読解力を身につけるには、3つのステップがある。それは「語彙力養成」「文章力養成」「読解力養成」の3つだ。
一般的に、初めに「読み」で言葉を覚え、語彙力がつき、だんだんと文章が書けるようになるというプロセスを経て読解力がついていく。しかし、長年にわたり文章指導をしてきた樋口氏によると、若い世代はなかなか本を読んでくれないという。なので、はじめから文章を書くように指導しながら語彙を教える。すると、少しずつ文章が書けるようになり、結果的に語彙力も飛躍的に伸びるという。
アウトプットによって語彙力を養成するには「言い換え力」をつけること。たとえば、「お昼はそばにしよう」という意味であっても、「昼飯はそばがいいな」「拙者は昼食にそばを食すことにいたそう」など、さまざまな表現がある。
人は同じ内容を伝えるにしても、様々な言い換えをして伝え、それを読み取っている。その人の発した言葉で、その人の人格や価値観などを判断することが、読解力ともいえる。
さまざまな語彙でその場に応じた表現を使って自分の考えを伝えることができることが、言い換え力のある人。そのためにも、同じ内容でも、他の言い方がないか、と考えることで、語彙力は増してくるのだ。
次に、文章力をつけるには、小論文を書くこと。何らかの課題や文章を与えられて、それについて自分の考えを論理的に説明する練習をする。小論文を書き慣れてくると、論理的に思考し、読んでいる人にわかるような文章を書けるようになる。
語彙力をつけ、文章力をつけてから、そのノウハウを応用して文章を読むと、読解力が鍛えられる。たとえば、文章の主張を把握し、その根拠を整理したら、要約するなど、意識的に読み解くと、文章の理解も深まる。
読解力をつけることで、難しい、読みづらいと感じていた本や記事もより理解して読むことができるだろう。現代社会を生き抜く上で必須のスキルである読解力を本書から身につけてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。