企画書やレポート、そして事務連絡のメールなどを含めても、文章を書く機会は多い。
「頭の中で考えていることを相手にうまく伝えることができているのだろうか」と不安になることもあるだろう。自分の語彙の少なさや文章の下手さに、げんなりしてしまうこともあるかもしれない。
しかし、読み手の理解と共感を得られる文章が書ければ、相手に伝わるはずだ。
2009年の発刊以来、ベストセラーとなっている『文章力の基本』(日本実業出版社刊)を新しい構成と文例で進化させた本が登場した。
『文章力を伸ばす 書くことが、これでとても楽になる81のポイント』(日本実業出版社刊)は、著者の阿部紘久氏が、6,000件の添削指導をもとに「書く力は、考える力そのもの」「受け手発想で書く」「意味の狭い言葉を使う」「長文を書くポイント」など、なかなか教わることがない81のポイントを文例とともにわかりやすく解説した一冊である。
■伝わりにくい文章を避けるには、読み手の立場で考えるべし
「読み手の理解と共感を得ること」は、ビジネス文書、エッセイ、小説など、どんな種類の文章においても共通して求められる。
それは、自分が伝えたいことをまず明確にした上で、同時に読み手の身になって感じたり、考えたりする想像力を磨くことによって初めて達せられる。
たとえば、イベントの案内のチラシを作るときに、どのように表現すれば参加者や利用者に明確に伝わるのか。
多くの情報を列記する場合は、文章で長々と綴るのではなく箇条書きがよい。著者はそのメリットを5つ挙げる。
(1)どんな項目がいくつ列挙されているのかが、一目でわかる
(2)1項目ずつ理解したり、質疑応答したりすることができる
(3)文字数をかなり少なくすることができる
(4)重複や論理的矛盾、飛躍なども明らかになる
(5)飾りの部分やレトリック(修辞)が取り去られるので、言いたいことが明確にもなる
また、「丁寧に書き過ぎない」「言葉を飾らない」「文句を言われないようにと予防線を張らない」…こういったことに気を配る必要があるだろう。
送り手からすれば「念のため、あれもこれも」となりがちだが、情報が多すぎると無駄が多くなり、伝えたいことが埋もれてしまい、受け手にとって不親切な文章になりがちなのだ。箇条書きならば知ってほしいポイントが分かりやすく整理されている。
「受け手発想に切り替える」と親切で適切な表現になる。これは事務的な連絡文書だけでなく、ほとんどの文章について言えることだろう。
読み手が読みやすい文章を書くこと。当たり前のことのように思えるが、いざ文章を書くときになると、ついつい忘れてしまいがちになることだ。
文章を書くとき、想像力を働かせて常に読み手になること。まずは、これを意識するだけでも文章力はアップするはずだ。
本書は文章力を伸ばすための81のポイントを豊富な文例とともに教えてくれる。伝わる文章を書けずに悩んでいる人は参考になるだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。