「かばん持ち」という仕事がある。
上役のかばんを代わりに持ち、ついてまわる役目なのだが、実はビジネスに役立つ仕事のノウハウを習得する方法として効果てきめんだ。
かつて、GAPでバイスプレジデントを務め、“伝説の社長”といわれる松田理宏氏のもとには、最大7人ものかばん持ちがいたという。もちろん彼らは無給だった。では、そこまでしても得たい松田氏の仕事のノウハウとは一体どんなものだったのだろうか。
それを知れるのが『ぶっちぎりで突き抜けた結果を出す人になる仕事の心得』(松田理宏著、SBクリエイティブ刊)だ。本書は、これまで松田氏のかばん持ちしか知りえなかった「成功のためのビジネススキル」を紹介した一冊である。
■アフター5まで仕事相手と一緒に過ごすのはムダ!? だけれど……
松田氏は「かばん持ち」たちに「仕事のメールは遅くとも2時間以内に返信しろ」と教えている。特に、決定権を持つ相手からのメールに対しては即レスが基本であり、重要なメールは10分以内に返信すべきだ。
なぜなら、相手の熱を冷まさないためである。上司も取引相手も人間。ちょっとしたことをきっかけに、それまであった熱意が冷めてしまうことがあるだろう。メールの返信が遅いと、その間に相手のやる気が失われるリスクを高めてしまうのだ。
また、「アフター5まで仕事相手と一緒に過ごしたくない」というのは松田氏も大賛成だという。上司や先輩社員、同僚や後輩と飲みに行く必要はない。
しかし、ランチタイムとなれば話は別だ。ランチタイムは、職場の同僚を誘い、できる限りオフィスを出たほうがいいと著者。
一体なぜか? それは、たわいない雑談の中に答えがある。思いがけない社内の人間関係を知ることもあれば、重要なニュースが耳に入ってくることもある。もちろん、とりとめない話で終わることもあるが、ランチタイムはせいぜい1時間。会社帰りに何時間も飲み会に費やすことに比べたら、お勧めのコミュニケーションだと述べる。
では、アフター5はどのように過ごすべきなのか。それは自分が心から楽しめる予定を入れることが大事だという。ただし、DVD鑑賞やゲームなどの「ひとり遊び」の趣味ばかりではなく、ビジネスパーソンとしての成功を考えるなら、誰かと一緒に過ごすべきだと松田氏は語る。
また、一緒に過ごす人は会社の人間ではないほうが好ましい。会社内だけの狭い世界の中にいると自然と視野も狭くなってしまう。まったく分野が違う友人と仕事とは関係のない話をしていることが、新たな仕事のアイデアを生むことも珍しくないのだ。
仕事のできる、できないは、とても小さな差にある。
「微差」が「大差」につながり、それがチャンスを呼ぶことになる。本書で紹介されている仕事のノウハウは、自分の意識さえ変えればできることも多い。仕事がもっと楽しいもの、やりがいのあるものになるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。