この2つの言葉の意味の違いを、あなたならどう説明するだろうか。
言葉の意味は分かっているつもりでも、いざ説明しようとすると、使い分けがわからない言葉は多いもの。
『何がちがう? どうちがう? 似ている日本語』(佐々木瑞枝著、東京堂出版刊)では、なんとなく違いは分かっても、明確に説明しにくい「似ている日本語」の使い分けについて、分かりやすい解説と言葉の代表的な使い方をイラストを交えて紹介している。
ここでは、本書の中から似ている日本語をいくつか挙げていこう。
■「美しい」と「きれい」
この2つは、どちらも「色・形・音」などの調和がとれていて快く感じられる様子という意味だが、品詞が異なるため否定系や過去形の形が異なる。
また、「きれい」には、「清潔である」「整然としている」という意味もあり、人の容姿に対してはどちらも使えるが、「美しい部屋」(部屋のレイアウトが素晴らしい)と「きれいな部屋」(掃除が行き届いている)とでは意味が異なる等の違いがある。
■「無料」と「ただ」
どちらも料金や代金を支払う必要がないことを意味する。しかし、書き言葉には「無料」、話し言葉には「ただ」が使われることが多い。ちなみに「無料」は漢語で、「ただ」は和語だ。
■「むちゃくちゃ」と「めちゃくちゃ」
「むちゃくちゃ(無茶苦茶)」は、「無茶」を強めて言うときに使う言葉で、論理的ではなく、道理として通らないことを意味する。また、「めちゃくちゃ(滅茶苦茶)」はそれに加えて、どうにもならないほどに壊れたり、混乱することの意味が入ってくる。
■「素晴らしい」と「すてき」
どちらも優れていて感心させられる様子を言う。ただし、「素晴らしい」が客観的な評価であるのに対して、「すてき」は主観的であり、口語によく使われる。
■「博学」と「物知り」
どちらも広い分野にわたって豊富な知識を持っているという意味だが、「博学」は、アカデミックな分野に対して使われることが多く、学問的な内容をよく知っていること、「物知り」は、日常的で身近な事柄に通じていることを言う。
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似たような言葉でも、使い方、選び方で相手に伝わるニュアンスや意味が変わってくる。「似ている日本語の使い分け」を理解し、もっと意識して言葉を使うことで、コミュニケーションもより奥深いものになるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。