人からどう思われるかを気にしないで生きている人はごく少数。多くの人はどう思われるかを気にして、生きづらさを抱えている。変なことを言ってしまったら……、炎上してしまったら……。
そんな世の中の視線をものともせずに、我が道を行くのが漫画家の蛭子能収さんだ。
「人からどう思われるか」ではなく「自分がどう思うか」を大切にしているという蛭子さん。そんな彼が人生相談に乗ってくれるのが『笑われる勇気』(蛭子能収著、光文社刊)である。
本書は、インターネット上で話題を呼び、たちまちヒットとなった単行本『蛭子能収のゆるゆる人生相談』(光文社刊)の続編。蛭子さん70歳を記念して、ゆるゆる人生相談を一挙108本収録している。
■蛭子流「お金との向き合い方」
ギャンブル好きとして知られる蛭子さんだが、そのお金に対する考え方は「お金には素直にひれふそう」だという。いちばん大切にしているものは、自分の命。その次にくるのがお金。蛭子さんはとにかくお金を信じているのだ。
学歴コンプレックスがあった蛭子さんは長崎から東京に出てきた頃、よく「どこの大学出ているの?」と聞かれたという。その度に高卒の蛭子さんは、恥ずかしい思いをした。そのウップンを晴らすために描いていたのが、東大を卒業した人が悲惨な死に方をする漫画だったという。
しかし、テレビに出るようになって、お金を稼げるようになると、いつの間にかコンプレックスもなくなっていた。お金は、その人の劣等感を打ち消すぐらいの力があると蛭子さんは力説する。
そして、「オレは、人生相談をしていますが、その悩みのすべては、金さえあれば解決するものですよ。それを回答すれば、元も子もないから、テキトーに答えているんです」と言うほど、お金を信じている。
世の中の仕組みがお金さえあれば、ゆとりある生活ができるようになっている。なのに、金儲けを否定するのはおかしい。お金には、とことん執着していいと、蛭子さんは述べる。清々しく感じるほどの「お金」観だ。
人生相談にも、まずは「女房に小遣いを減らされて軍資金が少ないのが難題。それに比べたらどうでもいい相談ですね」と、競艇の話から入る蛭子さんが憎めない。そして、競艇に絡めた話で相談に乗っているような、乗っていないようなゆるいアドバイスを返していく。
「自分がどう思うか」を大切に。人からどう思われても「ま、いいか」と思っていればそれでいい。人間関係や仕事、将来のことなど、何かで悩んでいる人は、本書を読むともっと自由に楽に生きていいんだと思うはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。