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分裂を繰り返した「3つの山口組」組員たちの現状…実は共存共栄すべく、連絡も取り合っている !?  

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先日は、任侠山口組舎弟だった牧野元義氏が神戸山口組に復縁。現場サイドでの駆け引きがあったのだろう(画像は、関係各所に送られた復縁状)

 現在、山口組には「六代目」「神戸」「任侠」の3つの組織が存在している。この構図は、世間の目には、いつ過激な抗争へと突入してもおかしくないように映っているかもしれない。だからこそ、警察当局も総力をあげて警戒を強めているのだが、必ずしも山口組の全組員が緊迫状況の中にあるわけではない。

 分裂状態にもかかわらず、日常的な変化はない……。そんな現象は、2年前の六代目山口組分裂当初から起きており、ある六代目山口組系幹部も筆者の取材に対して、はっきりと「(分裂騒動には)あまり興味がない」と口にしていたほどだ。地域性や組織の歴史や立ち位置、個々人の考え方などで、分裂騒動に対して温度差があるのは当然だが、誰しもが敵方となった相手に対し憎悪を抱いているわけではないと言えるのではないだろうか。

 これは、今回の二度にわたる分裂劇の特徴かというと、そうではない。ある古参幹部の話によれば、「山口組史上最大の抗争事件」といわれる山一抗争(四代目山口組体制を良しとしない離脱勢力によって結成された一和会と、四代目山口組の間で起きた抗争事件。1984〜85年)の際にも、そういった温度差は存在していた。

「山一抗争当時でも、表だって相手方と街中を歩くようなことこそなかったものの、全員ではないが、連絡のやりとりはあった。お互いきな臭いときなどはコソッと連絡を入れ、『あまり外を出歩かないでくれよ』とか注意し合ったもんだ。昨日まで身内で仲が良かった者を、いきなり敵として見ろと言われても難しいし、幹部らも黙認している面もあったと思う。今回だってそうだ。特に山一抗争時代よりもヤクザに対しての社会や警察からの弾圧が激化している中では、現場サイドは共存共栄していかなくてはやっていけないところだってある」(六代目山口組系幹部)

 さらに、長期化すればするほどに、そういった雰囲気は強くなってくるというのだ。

「常に所属している上部団体によって敵味方と区別して睨みあっていては、組員の切り崩しなんて成功しない。分裂していても、相手方に意思の疎通をはかれている相手がいるから、移籍したり移籍されたりがある。明日になればまた身内になるかもしれない相手を敵視ばかりはしていられない」(同)

 先日も報告させてもらったが、現在、3つの山口組による互いの切り崩しが激化している【参考記事「予測不能の引き抜き合戦勃発! 任侠山口組舎弟が神戸山口組に復帰…北の大物は任侠へ、尼崎の実力者は六代目へ」】。その裏では、現場サイドでの意思疎通があるということなのだろう。だが、そうはいっても、偶発的なバッティングや織田絆誠代表襲撃事件のような事件も実際に起きている。

「ヤクザである以上、トラブルは避けられないのは当たり前だ。これだけヤクザが冷えきれば(警察当局に資金面で取り締まられれば)シノギでバッティングするケースもある。面子だってある。記者会見のようなことをされ親分を罵倒されれば、誰だっていい気はしない。立場によって、組織にはからず突っ走ってしまうこともあるだろう。だからといっても、いがみ合ってばかりしていては、取り締まる材料を警察に与えるだけで、彼らの思うつぼになることはみんな理解している」(同)

シャバはシャバ、中は中という感覚

 また、別の幹部もこういった話を口にしている。

「ウチの地域には、六代目、任侠、神戸の下部団体があるが、いくどかの衝突はあったものの、現在はそれなりに共存共栄しながらうまくやれていると思う」

 敵でありながらも、共存をはからなければならない――こういった事情は社会(シャバ)だけのものではないという。ヤクザである以上、避けて通ることのできない刑務所生活の中では、その傾向がなおさら強いと、先日社会復帰を果たしたばかりの六代目山口組系の幹部は語る。

「昔から塀の中には、シャバはシャバ、中は中という感覚があります。社会ではどうかは別として、つらい懲役生活を過ごしているのだから、中では仲良くやろうではないかというのがあるんです。私が中にいる頃に山口組が分裂し、出所前には任侠山口組ができたのも、塀の中まで漏れ伝わってきました。山一抗争時代には、刑務所側の配慮で、山口組系側と一和会系側のそれぞれの組員の作業する工場を急遽分ける処遇がとられることもあったと聞きましたが、今回そんなことはなかったですね。この分裂後の抗争事件で入所してきた懲役(受刑者)に対しては、そういった事情を官側も十分考慮していたでしょうが」

 確かに現在、3つの山口組は、それぞれ独自の運営方法で組織を維持している状態が続いている。各組織の一部が衝突を起こしているのも事実だ。だからといって、それが即、抗争を勃発させる危険を孕んでいるかといえば、そうではない気がする。今回の取材で、筆者はそういった印象を持った。それでもヤクザはヤクザ、いつ何が起こるかはわからない状態であることは否定できない。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。去年10月、初単行本『生野が生んだスーパースター 文政』(サイゾー)を刊行。最新刊は『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(同)。

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