たまにでも出社していれば、今は少し張り詰めた空気だからこの話はあとにしよう、といったことがわかるが、遠隔ツールではとんでもないタイミングに社内SNSを投げてしまったり、スカイプで発言を割り込ませたりしてしまうことがある。
「日本だと、テレカン(テレフォン・カンファレンス:電話会議)では相手の表情を読みながら、テレカンの前後にちょこちょこ話して合意形成されたりするので、テレカンで遠隔から会議の方向性を左右することが難しく感じます」という声もあった。
対策としては、年に数回でもできるだけ対面の機会をつくる、一対一ではなくできるだけ大人数の会議の様子も聞けるようにさせてもらうなどの工夫をしている人が多いようだ。次のような経験談があった。
「細かな話ですがカメラ位置とか、マイク付きイヤホンを使うか使わないかとかでも変わってくる。社内の状況が不明な一方、向こうもこちらの状況が不明なようなので、リモートの最初の頃はかなり密に連絡をとってこちらの状況を伝えるようにしていました」
「最低2月に一度ぐらいの頻度で帰って、ミーティングを詰めまくっています。また、情報通の人とLINEしたり、社内の人と可能な限り電話をするようにして、情報収集に励んでいます。なるべく連絡しても嫌がられないように、電話の際は時間短く、機嫌良くを心がけています」
(2)新規が開拓できない
次に、完全リモートワーカーが苦戦している点は、新規開拓など、初対面の人と仕事をする場面だ。私は日本でフリーランスとして仕事をしているときに、表敬訪問は基本的に機会費用が奪われて時間の無駄と感じ、そのことを記事にしたこともあった。が、単発のイベントなどならともかく、何かプロジェクトを共に進めようというときは、やはり対面で一度相性などを見極めたほうが、のちのちかえって効率的かもしれないとも感じる。
こと営業活動については、まだ対面が重要なようだ。長年、企業広報をしてきて今後夫の転勤に伴い海外にいく可能性があるという女性は「初対面でのコンタクトでSkypeやZoomなどのツールを使っての面会は失礼というか、わかりにくい、伝わりにくいというところがありますよね。営業系はやはりまだまだアナログというか、人間関係構築な部分があるので対面のほうが仕事しやすいのかなと思います」という。