2016年の日本人の平均寿命は、女性が87.14歳、男性80.98歳と、いずれも過去最高を記録。100歳まで生きるのは珍しいことでもない時代となりつつある。ただ、100歳になったときも楽しく、幸せでいられるか、というのは大切なことだ。そういったことも含めて、長寿の秘訣とは何か。それは「手抜き」をすることだ。
『100歳まで生きる手抜き論』(吉沢久子著、幻冬舎刊)では、99歳となった今も現役で活躍する生活評論家の吉沢久子氏が、長生きの秘訣である「手抜き論」を紹介している。
■99歳で一人暮らし、不安はない?
来年の1月21日で100歳を迎える吉沢氏。夫を亡くした66歳のときから30年以上、ずっと一人暮らしだ。「突然倒れるようなことがあったら…」と、一人暮らしの不安はある。しかし、その不安は誰かと一緒に暮らしていたからといってすべて消えるものではないと語る。そして、不安は生きている限りついて回る。たとえ何か悪いことが起きても、そのまま受け止める平らかな心持こそ大切だと説く。
また、一人暮らしには、一人暮らしでしか味わえない自由がある。吉沢氏は、8時に起きて窓を開けて風を通しながら、気持ちよくてもう一度寝てしまうことがあり、そんなときに「なんて幸せなんだろう」としみじみ思うのだという。
■今は上手に「手抜き」をして暮らしている
では、本書のタイトルにもある「手抜き論」とは、どんなものなのか。
たとえば、掃除。吉沢氏が働き盛りで、仕事と家事を両立させていた頃は、できるだけ細切れの時間を見つけては掃除や片づけをしていたそうだ。しかし、今は掃除のやり方でも、上手に「手抜き」ができるようになったという。
「時間はたっぷりあるのだから、あとでまとめて掃除をすればいい」という考え方は、実践してみると、あまりうまくいかないことが多い。なので、ちょっとした汚れやほこりは気がついたときに少しずつこまめに掃除する。日々少しずつでも汚れが溜まる前にさっと拭いておくのが「手を抜いて、ラクをしながらきれいな状態を保つ方法」だという。
一つ一つはたいした手間ではない「ちょっとしたお掃除」を、日々の生活に組み入れることで、本格的な大掃除の際には手間をかけずに済むようになるのだ。
気をつけなければいけないのは、「手を抜けるところは抜いてくらす」ことと「だらしなく暮らす」ことは同じではないということ。吉沢氏は、手を抜きつつも、だらしなくならによう、歳を重ねるほど「清潔感」を大事にしているという。
本書を読むと、吉沢氏が日々を楽しく暮らしているのが伝わってくる。老後の心配をする人も多いはず。高齢者の一人暮らしも増えていくだろう。超高齢化社会に向けて、吉沢氏の手抜き論から見習うところも多いはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。