このコロナ禍で気持ちが塞ぎ込みがちになってはいないだろうか。
あまり人とも会えないため、自分と社会の関係が希薄になっているように感じ、孤独感を覚えてしまう。自分に自分でプレッシャーをかけてしまい、期待に沿えないことに絶望をする。つらいと思っても吐き出せる相手もいない。そしてある時、心がポキッと折れてしまう。
しかし、なぜ心が折れてしまうのだろうか。
『前を向く力を取り戻す「折れない心」をつくるたった1つの習慣』(植西聰著、青春出版社刊)には、心が折れやすい人の特徴として「ひとつのマイナスの出来事を、大きくとらえすぎてしまう傾向があります」とある。
一度の失敗であったり、意地悪なひと言をぶつけられたとき、とめどなくマイナスのことを連想していってしまうのだ。誰もが承認欲求を持っているものだが、現実がそうならないと、理想とのギャップが生まれ、苦しくなる。それが傷ついてしまう原因となる。
■大事なのは自分を責めないこと
また、心が折れやすい人は、そうでない人よりも「無力感」にさいなまれることが多い。「自分は何もできない」「自分には力がない」と考えて、前向きに物事に取り組む気力が保てなくなるのだ。
たとえば、急な環境の変化があった時、その変化にすぐ対応しようとするのではなく、自分が置き去りになったような気持ちになり、「こんな状況でも、自分はなにもできない」という無力感にとらわれる。そうしていると、日々の生活から活力がなくなっていってしまい、本当に病気になってしまうこともあるという。
だからこそ大切なのは、無力感にさいなまれたときも、自分を責めないこと。そして、どんな小さなことでもいいから、その日、自分ができたことを数えてみるといいと著者の植西さんは述べていてる。
「今日も朝起きて会社に行った」「一日分の家事を終えることができた」といったことでいい。自分を励ましてあげることが大事だ。
■マイナスの感情にとらわれているときは体を動かそう
もし、心の中がネガティブな感情に埋め尽くされているならば、体を動かすのも一つの手だ。植西さんによれば、人は運動をしているとき、たくさんの筋肉などを使うため、脳がそちらに意識をとられて、別のことを考えられなくなるという。
ダンスやランニングといった本格的な運動でなくてもOK。公園まで散歩する、コンビニまで歩く、階段を昇るといったことでもいいし、家の中ならば料理やそうじ、部屋の片づけでもいい。
大事なことは体を動かしたり、手を動かしたりする必要のある動作をすること。そこに集中すれば、嫌なことを少しでも忘れることができる。もし、心にもやもやしたものを抱えているときは、少し体を動かしてみよう。幾分か気持ちは晴れるはずだ。
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こうした状況下において、ポジティブに日々を生きていこうと思っても、なかなか難しいものだ。誰かと会う機会も激減し、基本は家の中で一日を過ごす。そうなれば、心も硬直していってしまう。
そんなときこそ、本書で書かれていることは大いに助けになるだろう。植西さんはこうつづっている。
どうか絶望的にならないでほしいと思います。
心さえ折れずにいれば、どれだけ今がつらくても、人生は上向いていくものだからです。(p.4より引用)
いつまで続くか分からないコロナ禍において、折れない心をつくる習慣を身につけていきたいものだ。(金井元貴/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。