やりがいを得たり、良い人間関係を築き、より豊かな生活を送るための仕事のはずが、過度な仕事量や人間関係に悩み、精神的に追い込まれたり、体調を崩してしまう。これでは本末転倒だ。
そんな事態にならないために、もっと考え方をシンプルにする必要があるのではないだろうか。
そんなことを教えてくれるのが、『働くのがつらいのは君のせいじゃない。』(佐々木常夫著、 亀丘桃花/イラスト、 ビジネス社刊)だ。
本書では、著者であり元東レ経営研究所社長の佐々木常夫氏自らが実際に悩み、苦しんだ経験を赤裸々に明かしつつ、若い人にこそ知ってほしい「仕事」「会社」の本当の意味、折れそうな心をしっかりと支えるシンプルな「考え方」を紹介している。本書からいくつか紹介しよう。
■会社で上司とぶつかるのはNG。でも一方的に言われたときは…
会社では、基本的に上司とぶつかるのは避けたいこと。ただ、人間同士なので意見の合わないこともあれば、難クセをつけられることもある。
そういうとき、相手の怒りは「しおらしいフリでかわす」ことが大事だ。
とりあえず、素直に相手の指摘を理解したフリ、聞いて直しますというフリをするのである。余計なストレスだと割り切って、演技をしよう。
上司が感情的になるときは、「相手に受け入れさせたい」「言うことを聞かせたい」と思っているものと佐々木氏。それを静めるには、とりあえず「まいりました」というポーズをして、「しょんぼり」した雰囲気をつくってやり過ごすことが大事。
怒っているのは上司の問題であり、「私は私、何を言われたってこれでいい」と、各々の問題を分けて考えればいいのだ。
■仕事はたまるもの。真面目な働き方は見直そう
また、なんでもかんでも真面目にやるという働き方は見直すべきと佐々木氏は言う。
それには、与えられた仕事は重点化して、できるだけムダを省くようにすることが大事だ。仕事のゴールを決めて、いちばん早く到着する方法を考える。
そもそも仕事とは、自然と「たまっていく」性質がある。これ以上ため込まないようにするには、今手元にある仕事も「なんとか減らせないか」「誰かに頼むことはできないか」「やらないで済ませられるか」と考えてみることが重要だ。
合理的に取捨選択し、上手に手を抜くことも大切なのだ。
真面目で頑張り屋の人ほど、つらい思いをする。ただ、もっと視野を広げてみれば、別の価値観で生きている人はたくさんいる。
イタリア人の気質は、なんでも楽しむこと。人生で大事なのは「マンジャーレ(食べること)」「カンターレ(歌うこと)」「アモーレ(恋をすること)」であり、彼らはそのために働いていると言っても過言ではないのだ。
当然、仕事のことで悩んでいる人が急にイタリア人のような価値観にはなるのは難しいことだが、当たり前だと思ってきた価値観や常識を一度、捨ててみるのもいいかもしれない。上司の対応のコツや仕事の負担を軽くする術を本書から得てみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。