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午堂登紀雄「Drivin’ Your Life」

毎月分配型投資信託なんて、やってはいけない? 安全に銀行預金よりは儲かる方法

文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

(3)分配金健全性が高い

 分配金健全性とは、ファンド自体の収益の中からコストを引いた残りで分配金を出しているかどうかを示した指標で、100%を基準にします。100%未満であれば、ファンドで得た収益では足りず、元本を取り崩して分配金を出しているということを意味します。

 このようなファンドは、基準価額が徐々に下がっていきます。これは単に自分のお金を取り崩して戻ってきているだけの、いわゆるタコ足配当であり、毎月分配型投信によくある傾向です。実際に基準価額の推移を見ると、毎月右肩下がりで下落しているファンドが多いのがわかります。反対に、100%を超えているものはファンドの収益の範囲内で分配金が賄えているということですから、元本を取り崩すリスクは小さいといえます。ネット証券のサイトには分配金健全性を検索できる機能もありますので、参考になるでしょう。

(4)分配金余力が高い

 ファンドの収益は、組み込まれている株や債券などからの配当だけではありません。特にアクティブファンドであれば、ファンドマネージャーが利益の出ている銘柄を売却するなど入れ替え作業をしており、この売却による利益も余剰金として分配金の原資となります。

 この分配金余力とは、今まで積み上げてきた余剰金のなかから、あと何カ月分の配当が出せる余裕があるかを示したもので、「○カ月」で示されます。期間が長ければ長いほど、ファンドに留保された利益が大きく、今後も安定的に分配金を出せる余力があるということを意味します。

 逆に期間が短いものは分配金余力が低いということですので、いずれ分配金が下げられるか、元本を取り崩して分配金に充てるタコ足配当になる可能性があります。そこで、分配金余力が高い(期間が長い)ファンドを選びます。これもネット証券のサイトで簡単に検索できます。

(5)総額が下がり続けていない

 分配金健全性のところで述べたように、基準価額が下がり続けているファンドがほとんどではありますが、それを排除しようとすれば選択肢がほとんどありません。そこで次に何を見るかというと、基準価額+分配金累計の資産総額です。

 総額が増えているなら、基準価額の下落分を分配金で補えているということなので、運用としてはプラスといえるからです。逆に総額が下がっているなら、基準価額の下落を分配金では補えていないために資産が目減りしているということです。

(6)資金流出が続いていない

 資金の流出が続くと、ファンド会社の人件費やコストを賄えなくなり、ファンド運営自体ができなくなります。すると期限前でもファンドが解散される可能性があります。解散は「繰上償還」と呼ばれ、そのときの基準価額で投資家に資金が戻されるため、元本割れすることもあります。

 一方、資金流出が続いているのに分配金額が上がっているファンドを目にすることがあります。これは私の憶測にすぎませんが、資金流出を食い止めるため、あるいは運用悪化で資金減少分を補てんするため、一時的に分配金を多くして魅力を高め投資資金を集めようというマーケティングかもしれません。

 分配金につられてお金を出す人は少なくないので、これで運用維持に必要な資金が集まれば、分配金を下げていく可能性があります。実態はわかりませんが、運用自体が悪化しムリな分配をしている可能性があり、どちらに転んでもいいことはなさそうなので、資金流出が続いているファンドは要注意です。

(7)償還日まで残りの期間が長い

 多くのファンドは運用期間が決まっており、「償還期日」が表記されています。ファンドが期限を迎えると、そのときの市場価格でクローズし、投資家に資金が返還されます。ということは、もし償還時の相場が悪ければ、元本を割ってしまう可能性があるということです。また、償還期限が残り2年とか3年などと短ければ、一時的にマイナスになったときに取り返すのが難しくなります。

 毎月分配型投資信託のほとんどは購入時の販売手数料が高く、最初に1~3%が差し引かれるので、そもそもマイナスからのスタート。信託報酬もインデックスファンドなどと比べて高い。それを補って余りある分配金を受け取るには、やはりある程度の期間が必要でしょう。

 私が購入したときの基準は、「分配金利回りで回収できる見込み期間×1.5倍」です。たとえば分配金利回りが20%のファンドなら、税金を引いても7年で回収できる計算になります。そこで残存期間が7年×1.5=10.5年以上あるかどうかをチェック。それ以上ならOK、それ以下なら選択肢から外す、というものです。これなら、仮に途中で分配額が引き下げられたり、基準価額が下がったりしても、償還までには投下資金を回収できる可能性がより高まるだろうという発想です。

 そのほか、償還期限が決まっていない「無期限」タイプもあります。ただし無期限タイプの分配金利回りはそれほど高くはありません。とはいえ、仮に利回りが10%でも、10年で元本分がすべて回収できる(かもしれない)と考えれば、これはこれでアリかと思います。

積立投資で時間を分散する

 投信を買うときは、資金すべてを一気に投下する方法と、毎月一定額の積立で購入していく方法もあります。後者はいわゆる「ドルコスト平均法」というもので、たとえば100万円を投下するなら、毎月5万円ずつ20回分に分ける。その5万円も5銘柄に分けて1万円ずつにする。これを積立によって投資していくのです。

 金額が一定の積立投資は、値段が高いときは少ししか買えない半面、値段が安くなったらたくさん買えるという特徴のため、平均購入単価を下げることができます。時間の分散効果を狙ったもので、高値つかみを避け、暴落時のショックを和らげることにつながります。恐慌時のような大暴落相場であれば一気に突っ込んでもよいとは思いますが、平時では何が起きるかわかりませんから、一般的にはこの方法は有効だと考えられます。

 以上、毎月分配型投資信託の選び方についてご紹介しましたが、もちろん完璧な商品も完璧な選び方もありません。あくまで私の個人的な基準にすぎませんので、「自分はこういう選び方のほうがいいと思う」など、自分なりの基準をつくる参考になればと思います。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役

 1971年、岡山県瀬戸内市牛窓町生まれ。岡山県立岡山城東高等学校(第1期生)、中央大学経済学部国際経済学科卒。米国公認会計士。
 東京都内の会計事務所、コンビニエンスストアのミニストップ本部を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして勤務。
 2006年、不動産仲介を手掛ける株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。2008年、ビジネスパーソンを対象に、「話す」声をつくるためのボイストレーニングスクール「ビジヴォ」を秋葉原に開校。2015年に株式会社エデュビジョンとして法人化。不動産コンサルティングや教育関連事業などを手掛けつつ、個人投資家、ビジネス書作家、講演家としても活動している。

Twitter:@tokiogodo

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