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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

恐ろしい「長寿貧困」を回避する画期的「トンチン年金」が大注目

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
恐ろしい「長寿貧困」を回避する画期的「トンチン年金」が大注目の画像1「Thinkstock」より

「人生100年」という言葉が徐々に現実味を帯びてきた昨今。長寿時代をサポートする「トンチン年金」という保険商品が注目を集めている。そこで本コラムでは、前編・後編の2回に分けて、長生きリスクとトンチン年金のポイントをまとめてみたいと思う。

これからの世代は、かなりの高確率で90歳まで生きる

 日本人の平均寿命は、ゆるやかなカーブを描いて上昇している。厚生労働省の発表によると、2016年の平均寿命は過去最高を更新し、男性80.98歳、女性87.14歳と、香港に次ぐ世界第2位。今から50年後の65年には、男性84.95歳、女性91.35歳と4歳以上伸びる可能性も示されている。16年生まれの人が90歳までに生存する確率は、男性は4人に1人、女性は半数にも達するという。

 長生きしても、暮らしに困らず元気で穏やかに暮らせるのなら万々歳。ところが、病気やケガ、介護、認知症、経済的な問題等々。「長生きはめでたい」とばかり言ってはいられない人も少なからず出てくる。そう、いわゆる「老後破綻」予備軍だ。

老後の経済的準備はできていない人は8割以上

 年代・性別等に関係なく、老後の生活について経済的な不安を感じている人は多い。生命保険文化センターの調査によると、日ごろの生活や将来に向けてなんらかの不安を感じているという人に、最も不安に感じていることを尋ねたところ、自分自身に関する不安について、「自分が病気や事故にあうこと」(15%)が最も高かった。次いで多かったのが「老後の生活が経済的に苦しくなること」(11.5%)である。

 その一方で、最も不安に感じている項目別に現在の経済的準備状況をみると、多くの項目で「準備できている」が30%を超えているにもかかわらず、「老後の生活が経済的に苦しくなること」については、「準備できている」が14.4%と他の項目に比べ大きく下回り、「準備できていない」が85%にものぼっている(図表参照)。どうやら多くの人が不安に感じてはいるものの、どのように準備すれば良いかわからない、というのが現状のようだ。

恐ろしい「長寿貧困」を回避する画期的「トンチン年金」が大注目の画像2

「自分が何歳まで生きるか」なんて誰もわからない……

 老後の経済的リスクに対して「準備できている」と言い切れないのは、「自分がどのくらい生きられるかわからない」という不確実性の高さも理由の一つではないだろうか?

 通常、お客さまのライフプランを作成する際には、その時点の平均寿命で必要資金を見積もることが多い。しかし、今後も平均寿命が延びるというのでは、100歳まで生きる設定にしなければ心許ない。そうなると、現役時代にいくつものライフベントをクリアしつつ、リタイアするまでに十分な老後資金を準備できる人がどれだけいるだろうか?

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
https://www.naoko-kuroda.com/

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