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「現地化」と「社会的イノベーション」 ある日本企業がインドで注目された理由

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「現地化」と「社会的イノベーション」 ある日本企業がインドで注目された理由の画像1※画像:『インドでつくる!売る!』(須貝信一著、実業之日本社刊)

 ホンダ、ヤマハ発動機、カシオ、キヤノン、パナソニック……。現在、多くの日本企業がインドに進出してビジネスをしているが、その実態はいかなるものだろうか。

 そのヒントが書かれているのが『インドでつくる!売る!』(須貝信一著、実業之日本社刊)だ。本書には、プライス、チャネル、競争、ブランド、コスト、広告、イノベーションなど、インドビジネスを成功に導く戦略と実行が、ケーススタディと分析と共に紹介されている。

■インドでのビジネスで必要な「現地化」とは?

 インドは1人あたりのGDPがサハラ以南のアフリカ諸国と同水準で、実は世界で最も貧しい国の1つだ。そのため、インド市場には「低価格」というシンプルで強いニーズが存在する。そんなインド市場でビジネスを成功させるために重要だと著者が指摘するのは、日本企業として当然の品質を維持しながら、低価格に挑むということだという。

 そのために必要なことが「現地化」である。現地化の目的は、コスト削減だけでなく、各部門の品質やスピードを向上させ、競争優位に繋げることが大切。

 例えば、バイクで有名なヤマハ発動機は、2011年から「スクーターへの参入」「チェンナイの第三工場建設」「既存のスーラジプール工場拡張」というように、積極的な投資計画を打ち出して、これまで主軸を置いてきた東南アジアからインドへ一気に軸足を移している。

 なぜヤマハ発動機はインドに軸足を移しているのか。インドの二輪市場が年間1400万台に迫り、今や中国を越えて世界最大市場となっているからだ。

 人気のバイクをとっても、日本とインドは違う。

 日本では、排気量250ccから400ccクラスのバイクが主流だが、インドでは100~125cc1クラスがボリュームゾーン。そこでヤマハは2008年頃からボリュームゾーンのやや上にある「150ccクラス」に注力。そのまま、シェアを拡大させ、市場で存在感を出すことに成功した。

 そして、上位市場でブランドを浸透させた上で、「スクーター」という商品によってボリュームゾーンへのブランド下方伸長を開始させたのである。

■ヤマハ発動機がスクーター参入のためにやったこと

 このスクーター参入でもヤマハ発動機の工夫が光る。単純にそのまま参入するのではなく、2012年9月に発売した「シグナスレイ」のターゲットを、「女性」としたのである。

 この新商品はその商品カテゴリー自体もヤマハにとって新しかった。コンセプトイメージを強く訴求するために、製品キャッチフレーズとして掲げる「クール&ビューティー」のイメージに適した人気女優をアンバサダーに起用し、「自立した女性」のイメージをプロモーションで活用した。 また、女性ライダー向け運転講習会や女性向けグッズの販売も行い、啓蒙活動につとめたのである。

 さらに製品をつくるプロセスにも女性が関わり、「シグナスレイ」の生産ラインは女性だけで動かしているという。女性の雇用については州政府と連携、「実習型」のシステムを作り上げている。この興味深い仕組みはぜひ本書を読んでほしい。

 この取り組みはヤマハ発動機にとって世界初、そしてインド業界内でも先進的であったため、現地で注目を浴びた。「女性が自ら働き、自分のモノを買う」という先進国では当たり前の経済活動がインドではなかったため、社会変革を促進することで、経済活動を循環させる社会的イノベーションにもなっていると著者は述べる。

 また、輸出ハブとしても力を入れており、日本への逆輸入を含めた30カ国以上に輸出。これはヤマハ発動機に限ったことではなく、ルノー日産もインドを世界戦略上の重要輸出拠点として位置づけているという。

 インド市場で、安くて良い製品を作ることは重要だが、さらにその他の価値を上げることいかにターゲットに対して適切な売り方ができるか、ということも大きな課題となる。 インドでのビジネスに関係のある仕事をしているビジネスマンは読んでおきたい一冊だ。(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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