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なぜ危険だと言われる地域に行くのか フォトジャーナリストの“回答”

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 世界で起きていることを写真で切り取る仕事。それが「フォトジャーナリスト」だ。

 私たちは世界各地で起きている貧困や難民、紛争、差別、災害といったさまざまな問題を、彼らジャーナリストを通して知ることができる。そして、そこで起きていることから目を背けるのではなく、向き合うことでより良い世界にするための第一歩を踏み出すことができるのだ。

 安田菜津紀氏は31歳の気鋭のフォトジャーナリスト。カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカなどで貧困や難民の問題を取材している。

 彼女はなぜ、写真で伝えるという手段を取ったのか。日々、どんな仕事をしているのか。『写真で伝える仕事 世界の子どもたちと向き合って』(日本写真企画刊)は、「写真で伝える仕事」をするうえで大切にしていることから、世界各地で出会った子どもたちとの物語を安田氏が紹介する一冊だ。

■大切なのは出会った人々の苦しみや悲しみの根源に近づくこと

 さまざまな表現手段がある中でなぜ写真を選んだのか。それは、雑誌や看板など、何気ない日常の中で目に飛び込んできた写真が、力のあるものだった場合、無関心から一歩関心に近づけることができるからだと述べる。

 写真ができるのは「知りたい」の最初の扉を作ること。そのはじめの一歩を築く可能性を秘めているのが、写真という手段なのである。

 では、フォトジャーナリストとは、いつもどのような仕事をしているのだろう。

 仕事の形態はさまざま。だが、大きな新聞社や通信社に所属していない安田氏は、基本的にどこに足を運び、どんなものを写すのか、自分たちの意志によって決めているという。 安定している立場ではないが、組織や会社の意図ではなく、自分自身の視点や時間のかけ方を大切に保ちながら、取材を進められることに大きな意義がある、と述べる。

 その中で、治安が不安定な場所に赴くこともある。ジャーナリストが治安の悪い所に行くことに対しては賛否両論があがっているが、安田氏自身は大前提として、危険地に行くことを取材の目的としていないと述べる。

 大切なのは出会った人々の苦しみや悲しみの根源に近づくこと。ただ、声をかけ届けることができない人たちが暮らしているのは、安全な場所とは限らない。

 私たちはどうしても世界で起きている紛争や災害に対して「遠い場所の出来事」だと感じてしまいがちだ。だが、レポートをしている人が私たちと同じ国の人間であったら捉え方は変わるかもしれない。「心の距離感を縮める」、それが声を伝える大きな目的なのだという。

 世界各地で安田氏が自分の目で見て接し、写真に収めてきたものに、どのような思いが込められているのか。

 自分がこれからフォトジャーナリストへの道を志したい人はもちろん、自分の周囲にフォトジャーナリストという仕事に就きたいと思っている人がいるならば、この本をプレゼントしてみるのもいいだろう。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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