メールを送ったのになかなか返事が来なかったり、チャットやSNSでやりとりをしていると誤解を与えてしまったり、ということに悩んだことはないでしょうか。
対面なら表情やしぐさ、声色などで印象を補うことができますが、「文章」だけでコミュニケーションを取る場合は、伝えたいことを書くだけでなく、この文章を読んだ読み手がどんな印象を受けるのかまで気を配らなければいけません。
では、相手に好印象を持ってもらえる文章とは、一体どのようなものなのでしょうか。そのポイントを作家の中谷彰宏氏が明かすのが、『好かれる人が無意識にしている文章の書き方』(すばる舎刊)です。
ここでは本書から、相手にネガティブな印象を与えてしまいがちな文章について3つピックアップします。
■相手の名前ではなく「あなた」という言葉を使う
メールやチャット、SNSなどで特定の人にメッセージを送るとき、相手のことを「あなた」と書いてしまうことはないでしょうか。しかし、この「あなた」の多用は相手にネガティブな印象を与えてしまうかもしれません。
「あなた」という言い方は相手に冷たい印象を残すうえ、上から目線、叱られている印象を与えると中谷氏。信頼できる目上の人から言われるのならまだしも、あまり関係が構築できていない状況で「上から目線」はかなりぶしつけに感じます。そして、人は会話と同じく自分の名前を呼んでもらったほうが嬉しいもの。「あなた」のほかも「彼」「彼女」ではなく、名前を使うことで、「上から目線」「冷たい」というイメージを防ぐことができるのです。
■自分の持論ばかりを書いてしまう
メールやSNSは気楽な連絡ツールなので、つい自分の伝えたいことや持論を一方的に書いてしまうことがあります。しかし、書き手の持論と読み手が読みたいものは別のものです。
読み手は自分の悩みに答えてほしいのに、書き手が「もっと大変な人はいるよ」などと書いてきたらどうでしょう。読み手は、「そんなこと言われても……」となるでしょう。確かに書き手は持論を持って文章を書くものです。
しかし、読み手の考えや悩みを踏まえずに、独りよがりの文章を書いてしまうと、マイナスの印象を与えてしまいます。文章は「自分のために書く」のではなく「読み手のために書く」と考えましょう。
■自分の文章を一度も読み返さずに出してしまう
書いた文章を人に送る前に、一度読み返す習慣はありますか? もし、ないのであれば、つけておくべきです。書いているときは、その世界に入り込んでしまっているので客観的にその文章を捉えることができなくなります。しかし、一度引いて読み返してみると、嫌味のように感じる部分、誤字脱字、分かりにくい部分などが一気に分かります。
読み返すのが恥ずかしいという人もいるかもしれませんが、文章は自分のためにあるのではなく、読み手のためにあるものです。だからこそ、読み返して客観視してみることは大切なのです。
「文章には書く人の優しさも冷たさも出てしまう」と中谷氏。良かれと思って書いたのに、冷たい印象を与え、その後につながるチャンスを失ってしまうのはあまりにももったいないことです。
本書は文章の基本が53個説明されています。まずは一つずつ、実践してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。