これからの時代、子どもも自分の意思や考えを「伝える力」を身につけられるようにしようと、文部科学省が2020年度からの新しい学習指導要領で、学ぶべきものとして「表現力」を取り入れた。
新しい時代を生きる子どもたちに必要な力として、「学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性など」、「実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能」、「未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力など」の3つを挙げ、これらを教育方針の柱として定めたのだ。
子どものうちから身につけたい「自分の意見を言う力」
変化の速い時代ということで、社会から求められる力もどんどん変わっていく。それだけではなく、自然災害や新型コロナウイルスなど、誰も予想できなかったような出来事によって社会が一変することも起こりうる。そんな日々で、この学習指導要領の3つの柱のうち、「未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力」は特に大切になると述べるのが、『10歳からの伝える力』(齋藤孝著、井上いろは漫画原作、松浦まどか作画、フォレスト出版刊)の著者であり、明治大学文学部教授の齋藤孝氏だ。
とくに「表現力」は、自分の外に出していくことであり、臆することなく勇気を持って、自分の意見やアイデアをどんどん外に出していくことが、世の中を変えたり、人生を面白く、豊かにしていく。
本書では、小学生に向けて、多くの人の前で発表するための「勇気」「意見をまとめる方法」「うまく伝える方法」を漫画を交えてわかりやすく紹介する。
何を伝えたらいいのかわからない。そんな場合、まずは「自分の意見」や「伝えたいこと」を見つけるところからスタートする。なので「特にありません」はNGワード。何でもいいから、無理やり何かしぼり出す。それでも何も言わないよりはいいし、とりあえず表明した意見にも何がしかの本心はあらわれる。
どうしても意見やアイデアが浮かばない場合は、「自分がクイズ番組の回答者になったつもり」で授業を受けてみること。「先生が伝えたいのはこう言うことかな?」「先生、どんな質問してくるかな?」と予測しながら、授業を聞く。そして、「自分ならこうするな」と意見をメモしておく。紙にメモをすることで、いつ意見を求められても、パッと答えられるように準備しておく。自分の意見を言うためには、準備をすることが重要となる。
「伝える力」は授業での発表だけでなく、人間関係においても大切な要素となる。子どもを持つ親は、齋藤氏の著書を漫画でわかりやすく読める本書を子どもに渡してみてはどうだろう。子どもの頃から身につけた「伝える力」は大人になってからも必ず役に立つはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。