仕事が遅れてしまったり、手がつけられなくなる理由の一つとして「仕事を抱え込んでしまう」ことがあげられる。頼まれた仕事を断れなかったり、すベて自分で解決しようとすることで、仕事が積み重なっていき、身動きが取れなくなってしまうのだ。
もし、そういったことに悩んでいるのであれば、「ヘルプシーキング」という考え方を見につけるべきだろう。
『仕事は自分ひとりでやらない』(小野田朝子著、フォレスト出版刊)には、「ヘルプシーキング」とは簡単に言えば「周りの人に助けを求め、ひとりで抱えこまないスキル」(p.3より)とあり、立教大学経営学部教授の中原淳氏が発信されていた言葉だという。
「助けを求める」――これが難しいと思う人も多いだろう。相手に迷惑をかけてしまうかもしれない。しかし、それでも助けを求め、周囲を頼ることは仕事を進めるためには大切なことだ。ここでは本書から、「ヘルプシーキング」の実践方法について少し紹介をしよう。
助けを求められる環境づくりの2つのポイント
周囲に助けを求めるために大事なことは、平常時から助けてもらえるための環境を備えておくことだ。そのポイントは大きく2点ある。
1つは「仕事のやり方」だ。
必要な情報をオープンにしているか。業務ルールや進め方は適切か。無駄や非効率はないか。それぞれがどんな仕事や役割を担っていて、どんな進捗状況なのかわからなければ、助けは求めにくい。そこでグループウェアで仕事を「見える化」したり、状況の共有と困りごとを相談する場をつくるなどして、「助けを求めていい場」を作ることが一つの手となる。
もう一つは「仲間との関係の築き方」だ。
普段からチームに貢献できているか。自己開示ができているか。仲間に関心を持ち、信頼関係ができているか。相談し合える関係がベースになければ、助けを求めることは難しい。そのために、自己開示をしっかり行い、普段からチームに貢献することが大切になる。
助けてもらえないケースを知っておく
一方で助けを求めても、助けてもらえないケースもある。
例えば「ギリギリまで抱えてから助けを求める」というケース。もっと時間があれば取れた選択肢が取れなくなってしまい、助けてくれるチームの人たちの時間と余裕を奪うことになる。そうならないためにも、抱え込まず、迅速に判断して助けを求めることが必要だ。
その他にも、ブラックボックス化した仕事をそのまま渡すのもNGだ。属人化されているため、任された相手にとって大きな負担となってしまう。
どちらも助けを求められる環境づくりをすれば解消できるはず。抱え込んでしまいがちな人は、まずは普段の仕事の進め方を見直してみるといいだろう。
本書には「ヘルプシーキング」を上手に使うためのテクニックや、逆に上手に仲間を助ける方法についても書かれている。仕事を抱え込んでしまうのは、何かしらの理由があるはず。それがツールやコミュニケーションなどで解決できるのであれば、どんどん活用していくべきだろう。
また、「一人に仕事を抱え込ませない」ことはチームのリーダーにとっても、成果を上げるチームづくりをしていく上で必要不可欠。本書を通して、助け合えるチームづくりを実践してみてほしい。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。