豊かになるために、幸せになるために、目の前のことを一生懸命に頑張ってきた。そして、物質的なモノの豊かさは手に入れられたものの、ココロは豊かになれていない。そんな矛盾を感じたことはないだろうか。
客観的で物理的な豊かさではなく、主観的で精神的な豊かさが求められる。現代はそんな時代だ。
『こころのウェルビーイングのためにいますぐ、できること』(西山直隆著、BOW&PARTNERS刊)では、米国公認会計士として、グローバルコンサルティングファームで資本主義の最先端を走ってきた著者の西山直隆氏が、世界で実証されつつある「幸せになる理論」を実装する仕組みを解説する。
まずは意識的に言葉を変えてみることが幸せにつながる
日本における幸福学の第一人者である慶應義塾大学の前野隆司教授の研究で、幸せを運んでくれる心理的要因を学術的に明らかにしている。それが、前野教授が提唱する「幸せの四つの因子」だ。
1.やってみよう因子
自己実現を目指し、成長しようと頑張る。主体的にわくわくしながら頑張っている人は幸福度が高い。
2.ありがとう因子
ありがとう因子は、つながりと感謝から生まれる。人とのつながりを実感すると、なんともいえない幸福感に包まれる。
3.なんとかなる因子
前向きさと楽観性がカギとなる。細かいことを気にせず、失敗を恐れずにチャレンジできる人。
4.ありのままに因子
人の目ばかり気にするのではなく、自分らしく生きる人。自分の軸を持ち、それに従い行動する人。
この4つの因子をバランスよく揃えることで幸せが実現するという。
たとえば、「ありがとう因子」にもあるように「ありがとう」という言葉は幸せを得るうえで重要なキーワードだ。だから、日頃から感謝の言葉を使うように心がけることが大切になる。
たとえば、「すみません」を「ありがとう」に置き換えてみてはどうだろう。
悪いことをしたわけでもないのに「すみません」が口癖になっていることがある。エレベーターに乗ったとき、先に乗っている人に「何階ですか?」と聞かれ、「すみません、5階です」と言ってしまうことはないだろうか。
謝ってばかりの生活だと、自己肯定感が下がり、常に恐縮して生きることになる。そのため、「すみません」というネガティブワードから「ありがとう」というポジティブワードに変える。これだけで双方の気持ちも変わってくる。「ありがとう」には、言った人も、言われた人も、ポジティブで優しい気持ちにさせる力があるのだ。
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感謝の気持ちを言葉にして伝えることで、相手も自分もココロの豊かさにつながる。普段から意識的に感謝の言葉を使うことで、自然と伝えられるようになるはずだ。まずは「幸せの四つの因子」を実践してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。