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パワハラ上司を科学する…毎朝の消毒作業をめぐり社員間でイジメ&対立の職場崩壊

新刊JP
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※画像はイメージ(新刊JPより)。
※画像はイメージ(新刊JPより)。

 個人にとっても組織にとっても「パワハラ」は大きな問題だ。組織からしたら優秀な人材を失う可能性があり、生産性にも悪影響を及ぼす。そして個人にとってはキャリアに色濃く影を落とすことになりえない。それがパワハラである。

 どんな人が、どんな理由でパワハラをするのかについてはさまざまな議論と研究がなされている。ただ、パワハラが起きるかどうかには環境も関わってくる。パワハラが誘発されやすい職場、パワハラが黙認されやすい職場があるのだ。

要求度が高くプレッシャーがきつい職場

 パワハラを行う人の特徴や条件、そのプロセスなど、パワハラ発生のメカニズムに迫る『パワハラ上司を科学する』(津野香奈美著、筑摩書房刊)によると、パワハラが発生しやすい職場の特徴の一つとして職務上の「要求度が高くプレッシャーがきついこと」、そして「裁量が小さいこと」を挙げている。

 こうした職場では従業員はストレスを抱えやすく他者に対してイライラしやすい。こうして従業員らが常に不機嫌になり、人間関係のトラブルが起こりやすい風土が培われていく。こうした職場ではストレス解消の手段としてパワハラが選択されやすいのだ。

役割葛藤・役割の曖昧さのある職場

 職場のルールや各人の役割が明確なことがパワハラを誘発することもある。たとえばコロナ禍で、職場の消毒作業を誰がやるか、いつやるか、どこまでやるかのルールがあいまいになっていた職場でパワハラが起きたことがあったという。

 なんとなく朝一番早く出勤した職員が消毒作業をやっていたため、遅く出勤した職員が非難されたり、消毒の徹底度合いを巡って職員同士が対立するという事態が起きた。これに対して所長が的確な措置を講じなかったため、勤続年数が長い職員が短い職員をいじめるという構造が生まれてしまったのだ。これが役割葛藤・役割の曖昧さのある職場でパワハラが誘発されるプロセスの代表例である。

冗談やからかいを容認している職場

 ユーモアや笑い自体はいいものだが、それを強制するとパワハラやセクハラに発展しやすい。部下や年少者をいじって笑いに変える風土がある職場は要注意。相手を傷つける可能性が少しでもあるのなら、上司はささいなからかいや冗談であっても許さないという姿勢を打ち出すことが求められる。

「男らしさ」が求められる職場

 性役割が明確で「男性がタフで、競争的で、物質的な成功を求める」傾向がある職場もまたパワハラが生まれやすいという。このような「男らしさ」が求められる職場では「そうでない者」が攻撃の対象になりやすいからである。

体育会系職場

 部下や年少者を「しごく」「試す」という文化がある職場もまた、パワハラの温床になりやすい。こうした職場ではパワハラそのものが指導であり、部下が乗り越えるべき「試練」なのである。しかし、言うまでもなくその試練は仕事に必要なものではない。

 先述の通り、パワハラが起こるメカニズムは複合的で、様々な要素が組み合わさることで発生する。だからこそどんな職場であってもパワハラは起こりうるわけで、組織側はできるだけその要因となりうるものを取りのぞくことが求められる。そして個人はパワハラ気質がある上司をいかに見抜くか、そしていかに自分がハラスメントの主体にならないかを考えることが大切だ。

 職場から、そして個人の人生からパワハラをいかに遠ざけるか。数々の調査や研究、実際にあった事例からパワハラの実体に迫る本書はそのヒントを与えてくれるだろう。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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