飲み会で交友を深め、部下がリーダーに気を遣い、部下のミスには厳しく叱責する。リーダーがそのやり方で上手くいっていたのは昔のこと。頭ごなしに指示命令して部下が動いてくれた時代は終わり、今はリーダーとしてのあり方を変えてチームを率いていかなければ、部下はついてこないし、結果も出せない。キーワードは「共感」。そして部下から共感されるかどうかのポイントは、リーダーの適切な言葉だ。
共感を集める上司の言葉がけはここが違う
『共感されるリーダーの声かけ 言い換え図鑑』(吉田幸弘著、ぱる出版刊)では、コミュニケーションデザイナー・人材コンサルタント・リーダー向けコーチの吉田幸弘氏が、日々のセミナーやリーダーたちとのコーチングで、部下が良い方向に動いた言葉を70個ほどピックアップして紹介する。
部下への助言や励ましは、リーダーにとって大事な仕事の一つだ。ただし、励まし方によっては、このリーダーに相談しても仕方ないと部下の信頼をなくしてしまうこともある。たとえば、いつも仕事に追われてバタバタしている部下には、どんな言葉を掛ければいいのか。「もっとゆとりを持って仕事を進めたほうがいい」というのは、解決策が抽象的で部下には響かない。何度注意しても部下が変わってくれないのは、抽象的な言い方になっていて、具体的にどう動いたらいいかわからないからだ。なので、「空白時間を必ず作っておくといいよ」「1日1時間自分とのアポイントを作っておくといいよ」というように、具体的に伝えるのが良い。
また、信頼関係を構築するには、部下のことをよく知る必要がある。雑談や何の気のない会話はやはり重要だ。ただ、休み明けの月曜日、部下と駅でたまたま一緒になった場合、「休みどうしてた?」と聞かれても、部下は答えづらい。「はい」「いいえ」以外で答えるこのような質問は、オープンクエスチョンといい、部下の立場からすると、回答範囲が広すぎるので答えづらいのだ。一方、クローズズドクエスチョンは、「はい」か「いいえ」、あるいは二者択一で選んでもらう質問。これはこれで、答えを限定しているので、時に詰問と取られる可能性がある。
では、どの程度の話をすればいいのか。「休みどう過ごしてた? 私はテニスざんまいだったけど」と、リーダー自身がオープンクエスチョンに自己開示を加えると、部下は答えやすくなるという。
部下を元気づける言葉は、部下にとってその言葉は資産になり、部下を傷つける言葉は負債になると、著者の吉田氏は述べる。リーダーや管理職となり、部下との接し方に悩んでいるという人は、共感される適切な言葉で良いチームを作り上げてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。